ヤフーはヤフオク!における偽物出品の対策として、スーパーコンピュータを活用したディープラーニングを新たに導入する。従来のサービスで活用していたGPUサーバと比べて、処理速度が約70倍に高まり、偽物出品の検知精度が約3.1倍に向上したという。
ヤフーは2018年11月30日、ネットオークション・フリマサービス「ヤフオク!」における偽物出品の対策として、スーパーコンピュータを活用したディープラーニングを新たに導入すると発表した。
50万件の出品情報に対して判定したところ、機械学習を用いた従来のシステムと比較して、偽物出品の検知精度が約3.1倍に向上したという。
同社は、2005年に機械学習を用いた不正出品検知システムを導入している。さらに、人手による「24時間365日パトロール」や、知的財産権の権利者との連携制度「知的財産権保護プログラム」によって、偽物出品への対策を進めてきた。新たに導入するシステムは同社独自の「偽物出品検知AI」を活用したもの。1000万件以上の取引データと、同社が独自に開発したディープラーニング特化型スーパーコンピュータ「kukai(クウカイ)」を利用する。
偽物出品検知AIは、出品物と出品者に関するあらゆる情報に基づき、全ての出品について、出品完了後、数秒以内にその出品物が「偽物である確率」を判定する。偽物である確率が高い場合は、人手による出品削除を優先的に検討する。これによって偽物の削除率が上昇し、削除までの時間も短縮できるという。
AIによる判定を高速化できた理由は、スーパーコンピュータを用いたこと。処理速度が約70倍に高まったことで、従来のサービスで活用していたGPUサーバでは110時間かかっていた処理が1時間半で完了する。
判定を高速化することだけにとどまらず、検知モデルの更新頻度も高めることができるため、たとえ新たなパターンに従った偽物出品が発生しても、迅速に対策を進められるとしている。
なお、偽物出品検知AIを稼働させるkukaiは、2017年6月に発表された省エネルギー性能ランキング「GREEN500」で世界第2位を獲得したスーパーコンピュータ。汎用プロセッサの他に、NVIDIAのGPU「Tesla P100」を160個備えており、従来ヤフーが利用していたGPUサーバと比べて演算処理性能を約225倍に高めている。
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