ノークリサーチは中堅中小企業向けに2019年のPC環境やサーバ環境の活用ポイントをまとめた調査結果を発表した。今後はWindows 10の導入が加速し、オンプレミスのサーバ環境ではハイパーコンバージドインフラに注目すべきだとしている。
ノークリサーチは2019年1月8日、年商500億円未満の中堅中小企業向けに2019年のPC環境やサーバ環境の活用ポイントをまとめた調査結果を発表した。
今後導入が進むと見られるWindows 10では、「OSのサービス化」によって必要のない機能が更新によって追加されてしまうことが課題であるとした。調査の結果、ここに不安を感じている中堅中小企業が多いためだ。こうした課題を解消するにはIT企業による機能更新プログラムの分かりやすい説明が必要だとしている。
2020年1月には、Windows 7とWindows Server 2008の延長サポートが終了する。そのためノークリサーチでは、2019年は中堅中小企業でインフラ移行が活発になると予想している。同社は特に、「OSの更新に伴って、PC環境のサービス化がどこまで進むか」という点について注目した。
まず、中堅中小企業が導入済みPCのOSと、今後導入予定のPCのOSを調べると、いずれも最も多かったのはWindows 10。具体的には、導入済みPCのOSは多い順にWindows 10(41.9%)、Windows 7(29.2%)、Windows 8.1(13.6%)。導入予定のPCのOSは、Windows 10(69.4%)、macOS(4.9%)、Windows 8.1(4.5%)だった。
Windows 10では「OSのサービス化」が採用されたため、それまでのWindowsと異なり、更新プログラムによってOS自体が定期的にアップデートされていく。上記の調査結果からノークリサーチでは、「OSのサービス化」を多くのユーザー企業が受け入れているようだとしている。
その一方で同社は、「OSのサービス化」はPC上で稼働する全てのアプリケーションに影響を与えるため、「OSのサービス化が及ぼす影響をどう乗り越えるかを考える必要がある」という。
例えば、同社が「Windows 10の利点と考えられる機能や特徴」と「Windows 10の導入で課題となる事柄」を中堅中小企業に尋ねた結果、利点として最も多かった回答はネットワーク経由の更新で新たな機能が追加されること。課題で最も多かったのは、必要のない機能が更新によって追加されてしまうことだった。
この結果を受けてノークリサーチでは、「現時点では『サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)』に対しては、利点と課題の双方の捉え方が混在している」と分析している。そして、こうした課題を解消するには、IT企業による機能更新プログラムの分かりやすい説明が必要だとしている。具体的には更新プログラムごとに特徴を捉え、ユーザー企業にメリットを説明することだという。
次にサーバ環境についてノークリサーチは、中堅中小企業向けオンプレミスのサーバ環境ではHCI(ハイパーコンバージドインフラ)に注目すべきだとしている。
中堅中小企業にHCIの活用状況とHCIの用途を調べると、「導入済み」「導入を計画/予定」「導入を検討」と回答した割合の合計は31.8%で、用途については基幹系や情報系といった主要な業務システムが多かった。
ノークリサーチでは、「HCIは単なるサーバ仮想化でのSAN(Storage Area Network)の代替手段ではなく、サーバリソースの柔軟性や伸縮性をシンプルなオンプレミス環境で実現する手段と捉える必要がある。そうした視点に立った場合、HCIの導入/運用のノウハウが蓄積し、サーバハードウェアやHCI基盤ソフトウェアの価格が下がれば、HCIは中堅中小企業がオンプレミスまたはクラウドを選択する際に少なからず影響を与える可能性がある」としている。
同社は中堅中小企業がクラウドを選択する理由も調べた。その結果、当初多かった「ハードウェアやミドルウェアの調達/設置が必要ない」「OSやミドルウェアの更新作業を外部に任せられる」といった理由が減っていることが分かった。
今後は「プログラミングせずにアプリケーションが作成できる」「オンプレミスより高度なセキュリティを実現できる」という選択理由が増加すると予測した。
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