@ITは2018年12月14日、「@IT ソフトウェア品質向上セミナー」を開催した。本稿では野村総合研究所(NRI)の講演「最近流行りの機械学習、どの分野に適用させています? ソフトウェア不具合予測を中心とした、機械学習活用事例のご紹介」の模様をお届けする。
@ITは2018年12月14日、「@IT ソフトウェア品質向上セミナー」を開催した。本稿では野村総合研究所(NRI)の講演「最近流行りの機械学習、どの分野に適用させています? ソフトウェア不具合予測を中心とした、機械学習活用事例のご紹介」の模様をお届けする。
NRIは「aslead」というブランド名で、「コラボレーションパッケージ」と「開発パッケージ」からなる働き方改革や生産性向上を支援するソリューションを提供している。asleadでは、JiraやJenkinsといったさまざまなツールを活用して開発の自動化を支援するが、「同時に、さまざまな側面で機械学習を活用し、開発生産性をさらに向上させる取り組みを進めている」と、同社 生産革新ソリューション開発一部 上級テクニカルエンジニアの畠中翔氏は説明した。
1つ目はソフトウェア不具合の予測だ。畠中氏によると「あるソフトウェアを構成するモジュールのうち、不具合を含んでいる可能性が高いモジュールを特定する手法だ。機械学習のアルゴリズムは『RandomForest』を利用し、2世代分のシステムエンハンス案件について予測を行ってみたところ、まずまずの結果が得られた」という。
これを使えば、「この機能から重点的にテストしていけばいい」といった具合に、「少人数で短期間に効率良くテストできるのではないか」という仮説が得られる。また、不具合原因分析にも適用し、不具合と因果関係のある要素と依存度を把握したり、逆に不具合の少ないベンダーを抽出したりして、そのベストプラクティスや知見をプロジェクト管理に生かすなどの可能性が考えられるという。
2つ目の取り組みは人材情報の探索だ。例えば「マイナンバー」について経験や知見を持つ社内の人を探したいというとき、いわゆるキーワード検索で探してみても「欲しくない情報まで出てくる」「検索結果の判別や精査が必要」といった課題がある。これを解消するため、畠中氏は「探索意図の解決が課題解決の鍵になる。そこで機械学習を使って、ユーザーの探索意図を学習させる仕組みを作り、探索コストの削減を狙った」と話す。「LUIS(Language Understanding Intelligent Services:自然言語解析サービス)」を使ったこの仕組みはまだリリース前だが、有識者の探索や参考情報の入手に要するコストの削減や時間の短縮につながることが期待される。
最後は「自動議事録作成」だ。「業務全体に占める会議の割合は15%と大きい。ここを効率化して生産性向上できないかと考えた」(畠中氏)。具体的にはasleadと「Rossa Voice」を組み合わせて取り組んでおり、完成を目指し研究中だという。
最後に畠中氏は、今回の@IT ソフトウェア品質向上セミナーのテーマに触れ、講演を締めくくった。
「要素技術を組み合わせることで、いずれはAIが自然言語で書かれた設計書を読み込んでプログラミングする、といったことも可能になるのではないか。そうなると、エースエンジニアが1人で大規模システムを短期間で開発できるようになるかもしれない。一方で、機械学習にはいろいろと限界があるのも事実であり、いわゆるシンギュラリティーの到来はまだ仮説段階にすぎない。今後の変化に対する柔軟な対応力が重要になるし、そのために継続的な知識や知見の獲得が必要だ」
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