ガートナージャパンは、2020年までに予定されているイベントについて、ITやセキュリティに関して特に考慮すべきポイントを発表した。「サイバーセキュリティとプライバシー」「システム開発・運用」「デジタルワークプレース」「デジタルトランスフォーメーション」の4つを挙げ、注意点や推奨事項を説明した。
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ガートナージャパンは2019年3月25日、2020年までに予定されているイベントについて、ITやセキュリティに関して特に考慮すべき4つのポイントを発表した。
その4つのポイントとは、「サイバーセキュリティとプライバシー」「システム開発・運用」「デジタルワークプレース」「デジタルトランスフォーメーション」。それぞれについて、注意点や推奨事項を挙げた。
まず「サイバーセキュリティとプライバシー」のカテゴリーでは、2019年6月の「G20大阪サミット」、同年9月の「ラグビーワールドカップ2019」、2020年7月の「東京オリンピック・パラリンピック」を例に挙げ、こうした国際的なイベントは世界からの注目度が高まるため、テロやサイバー攻撃などの脅威が懸念されるとしている。
また、IT/セキュリティリーダーに向けては、「こうしたイベントを好機と捉え、国内外の脅威や対策の傾向を理解し、変化にキャッチアップし、自社のセキュリティ体制の強化を図る必要がある」と啓発している。
さらにプライバシーについては、2019年3月に事業者認定が始まった、いわゆる「情報銀行」を取り上げた。
ガートナーは「個人データの活用が収益機会の拡大につながるとして期待の声がある一方で、個人情報漏えいなどが多発している現状から、プライバシー侵害などの脅威が拡大しかねないと不安を感じる消費者も多く存在する」としている。
海外では、2019年中にEUの「ePrivacy Regulation(ePrivacy規則)」が、2020年1月に米カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act(CCPA:カリフォルニア州消費者プライバシー法)」が、それぞれ施行される予定だ。これらの法規制も、日本国内に影響が及ぶ可能性があるとしている。
「システム開発・運用」のカテゴリーでは、改元、消費税率の変更と、民法改正に注目した。2019年5月1日予定の改元と、同年10月予定の消費税率変更は、いずれもITシステムの改修を引き起こす。ガートナーでは、改元や消費税率変更について、和暦を使う業務アプリケーションやシステムを洗い出したり、システムへの影響を分析したりして、システムの改修と検証のスケジュールを慎重に立てることが何よりも重要だと指摘する。
一方の民法改正は、2020年4月に施行が予定されている。ガートナーでは、「これは労働者の生産性の向上に対する本格的な取り組みであると言える」としており、「生産性向上や効率化を実現する有効な手段としてITの活用があり、『付加価値を生まない時間の削減』を実現するために、テクノロジーやツールを活用する必要がある」と主張する。
3つ目の「デジタルワークプレース」のカテゴリーについてガートナーでは、新たなワークスタイルやそれを支えるIT環境を活用したセキュリティ対策が、企業にとっての課題だという。
同社は、「従来は、機器やデータを社外に持ち出させないセキュリティ対策が採られてきた」と分析しており、今後は新たな技術を組み合わせることで、ユーザーの利便性や生産性を損なわずにセキュリティ対策を実施できると主張する。
最後の「デジタルトランスフォーメーション」のカテゴリーについて、世界ではデジタルトランスフォーメーションが急速に進んでいるのに対して、日本では十分なスピード感をもって対応できているとは言い難い状況だとまとめた。
ガートナーのアナリストでディスティングイッシュトバイスプレジデントを務める亦賀忠明氏は、「今後のデジタルトレンドによってもたらされる、かつてない競争や環境変化に対応するためには、人材面で新しいリテラシーやスキル、マインドセット、スタイルが不可欠だ。このためには相当な時間とエネルギーが必要で、数年たってようやく重い腰を上げるといったやり方は、それ自体が大きなリスクになる。従って企業は、2019年に人材投資などの具体策に基づく人材の競争力強化に、速やかに着手すべきだ」と述べている。
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