Microsoftは2019年5月に発表した「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の新版「WSL 2」に関して寄せられた質問の一部を取り上げ、ブログで回答した。例えば仮想化ソフトと同時に利用できるかといった質問に対する回答だ。
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Microsoftは2019年5月13日(米国時間)、2019年5月6日に発表した「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の新版「WSL 2」に対するコミュニティーからの質問にブログで回答した。回答したのはMicrosoftでWindows Developer Platformのプログラムマネジャーを務めるCraig Loewen氏。WSL 2の発表後に大きな反響があり、多数の質問が寄せられたことを受けたもの。
WSLは、Windows 10からLinuxを利用するための仕組みだ。Linuxディストリビューションをほぼそのまま利用でき、パッケージシステムも使用できる。
WSL 2は、Windows 10 Homeを含め、現在のWSLが使用できる全てのSKU(Stock Keeping Unit:個々のエディションやインストールオプションを表す番号)で使用できる。
WSL 2では、「Hyper-V」アーキテクチャを使った仮想化が可能になる。このアーキテクチャは、Hyper-Vのサブセットであるオプションコンポーネントで利用でき、このオプションコンポーネントを、全てのSKUで提供する。こうしたWSL 2の仮想化については、WSL 2のリリースが近づいたときに、詳細を発表する。
現在、WSL 1を非推奨とする計画はない。WSL 1とWSL 2は共存でき、各ディストリビューションはいつでもアップグレード、ダウングレードできる。
一部のサードパーティーアプリケーションは、Hyper-Vが使われていると動作しない。WSL 2が有効になっているときは実行できない。残念ながら、「VMware」と、バージョン6よりも古い「Oracle VM VirtualBox」が動作しないアプリに含まれる。なお、2018年12月にリリースされたVirtualBox 6.0.0は現在、Windowsホスト上のフォールバック実行コアとして、Hyper-Vをサポートしている。
Microsoftは、この問題を解決する方法を探っている。例えば、サードパーティー仮想化プロバイダーが、ソフトウェアをHyper-Vに対応させるために使用できるAPIセット「Hypervisor Platform」を公開している。Hyper-Vと現在互換性がある「Google Android Emulator」やVirtualBox 6以降などのアプリケーションは、このAPIセットを用いて、Hyper-Vアーキテクチャをエミュレーションに使用できる。
WSL 2の初期リリースでは、ハードウェアアクセスのサポートは限定的なものになる。例えば、GPUやシリアルポート、USBにはアクセスできない。だが、デバイスサポートの改善は、われわれにとって優先順位の高い課題だ。デバイスの操作によるユースケースが広がるからだ。(これらのハードウェアに対応するまでは)シリアルポートやUSBへのアクセスが可能なWSL 1を使用できる。
WSL 2では、システムコールの完全な互換性を確保するので、一般に、ネットワークアプリケーションはより高速に、よりうまく動作する。だが、WSL 2の新アーキテクチャでは、仮想化されたネットワークコンポーネントを使用する。このため、WSL 2の初期プレビュービルドは、ホストマシンと異なるIPアドレスを持つなど、仮想マシンのような挙動を示す。
Microsoftは、WSL 2をWSL 1と同じような感覚で使えるように注力している。その一環としてネットワーク対応の改善に取り組んでいく。WSL 2のリリースに近づいたら、ネットワーク対応の詳細についても発表する。
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