クラウドアプリ開発を手軽に試せるWeb Apps Linux向けの無料プランが登場Microsoft Azure最新機能フォローアップ(79)

Azure App Serviceの「Web Apps(Webアプリ)」で、Web Apps Linux向けの無料のサービスプラン「F1」が利用可能になりました。「F1」プランを利用すると、Linuxベースのクラウドアプリ開発を、期限や支払いを心配することなく気軽に試すことができます。

» 2019年05月20日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Web AppsをWindowsとLinuxのどちらでも無料で試せる

 Azure App Serviceの「Web Apps(Webアプリ)」は、WindowsおよびLinuxベースのPaaS(Platform as a Service)型のクラウドアプリプラットフォームです。これらは、Windows Serverの「IIS(インターネットインフォメーションサービス)」またはLinuxの「Apache」ベースで、.NET Core、ASP.NET、Java、Node.js、PHP、Python、Rubyのランタイムスタックを提供します。

 また、「Docker」ベースのLinuxまたはWindowsコンテナのデプロイも可能です(Windowsコンテナはプレビュー)。LinuxベースのWeb Apps「Web Apps Linux」を「Web Apps for Linux」、コンテナ対応のWeb Appsを「Web App for Containers」と呼ぶこともありますが、Azureポータル、Azure CLI、Azure PowerShellでは共通の作成エクスペリエンスでアプリをデプロイすることができます。

 WindowsベースのWeb Appsは、これまでも無料のサービスプラン「F1」が提供されてきました。「F1」プランを使用することで、開発者やIT技術者はクラウドアプリのデプロイを、時間や支払いを気にすることなく気軽に試すことができます。

 Web Apps LinuxとWeb App for Containersでは、これまで「F1」プランが提供されず、「B1」サービスにおいて、デプロイ後30日間無料で試用できるという特典が用意されていました。2019年5月初め、Web Apps Linuxでも「F1」プランが利用可能になり、期限を気にすることなく完全に無料で試すことができるようになりました。

 Web Apps Linuxの「F1」プランは、WindowsベースのWeb Appsと同様、共有インフラストラクチャ(Shared、プラットフォームが他の顧客と共有される場合がある)、1GBメモリのサイズで、「B1」との違いはカスタムドメイン/SSLのサポートと手動スケールの機能が提供されないこと、記憶域が1GB(B1は10GB)に制限されることです(画面1画面2)。

画面1 画面1 Web Apps Linuxの「B1」プランのデプロイ後30日間無料特典は引き続き利用可能
画面2 画面2 Web Apps Linuxで新たに利用可能になった無料の「F1」プラン。期限や支払いを気にすることなく利用できる

Web App for Containersの最小プランは「B1」

 以下のアナウンスにあるように、Web Apps Linuxの「F1」プランでは、Node.js、PHP、Pythonのアプリをデプロイ、実行できます。その他のランタイムスタックについての言及はありませんが、より大きなサイズが適しているからなのかもしれません。

 なお、Web App for Containersは「F1」プランではサポートされません。Web App for Containersをデプロイ可能な最小プランは「B1」以上になります(画面3)。

画面3 画面3 Web App for Containersは「F1」プランでは利用できない。最小でも「B1」プランが必要

 この他、上記のアナウンスでは、Python 2.7/3.6/3.7がWeb Apps Linuxで正式にサポートされたこと、WindowsとLinuxベースの両方でJava 11が利用可能になったこと、Web Apps Linuxでバックエンドにおける仮想ネットワーク接続サポートのプレビューが開始されたこと、Azureポータルにおける新しい作成エクスペリエンス「Webアプリ(プレビュー)」について言及されています。

 Web AppsをAzureポータルで作成すると、既定で「Webアプリ(プレビュー)」が開始しますが、これまでの正式版である「Web App」に切り替えることもできます(画面4)。また、Web App for Containersは「Webアプリ(プレビュー)」や「Web App」の他、「Web App for Containers」を利用しても作成できますが、こちらのユーザーインタフェースは従来と変わりません。

画面4 画面4 従来の「Web App」ウィザードに切り替えて、使い慣れた操作でアプリをデプロイすることも引き続き可能

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2018/7/1)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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