IBM、最新DB「Db2 V11.5」でAIやデータサイエンスへの対応を強化Common SQL Engineを更新して多様なデータソースに対応

IBMは、RDBMSのメジャーアップグレード版「Db2 V11.5」を発表した。企業がAIやデータサイエンスをデータベース管理プロセスに導入し、AIをより容易にアプリケーションに組み込み、データからより大きな洞察を引き出せるように設計した製品。新たに製品系列を3つのエディションに整理した。

» 2019年06月06日 10時30分 公開
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 IBMは2019年6月4日(米国時間)、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のメジャーアップグレード版「IBM Db2 V11.5」を発表した。Db2 V11.5は、企業がAIやデータサイエンスをデータベース管理プロセスに導入し、AIをより容易にアプリケーションに組み込み、データからより大きな洞察を引き出せるように設計されている。

 Db2 V11.5には多くの改良が加えられている。その一つがデータサイエンスのサポートだ。さまざまなオープンソースのプログラミング言語やフレームワークに対応したドライバをIBMが新たに用意したことで、開発者はDb2を使って機械学習モデルをアプリケーションに簡単に組み込める。こうした改良の目的は、管理負担が少なく、耐障害性が高く、生産性向上を支援するアプリケーションをDb2開発者がより容易に作成できるよう支援することにある。

 Db2の新版は、Go、Ruby、Python、PHP、Java、Node.js、Sequelizeなどのプログラミング言語をサポートする。Visual Studio CodeやJupyter Notebookなどの広く普及したフレームワークもサポートしている。IBMはこれらに対応した最新のドライバとコードサンプルをGitHubでオープンソースソフトウェアとして公開した。

自然言語クエリを提供

 また、Db2 V11.5では、自然言語クエリが可能な「Augmented Data Explorer」も新たに提供される。ユーザーがこのツールを検索エンジンのように利用できる。Db2に質問すると、可視化されたデータを受け取ることができる。分かりやすく自然言語で書かれた要約も付いている。

 さらにDb2ユーザーと開発者は、「IBM Cloud Private for Data」で提供されているIBMのデータ仮想化技術の新機能も利用できる。IBMのデータ仮想化は、ユーザーが多様なデータソースを簡単に探索できるように設計されている。開発者やデータエンジニアはこの技術により、開発に集中でき、データ移動に伴うETL(抽出、変換、ロード)プロセスに費やす時間を最小限に抑えることができる。

 この他、ブロックチェーンをサポートするように改善されており、アプリケーション開発者はブロックチェーンからデータを直接引き出し、他のデータソースからのデータと組み合わせて、分析機能を提供したり、ダッシュボードを作成したりできる。

 IBMは、「Db2 V11.5における幅広い言語のサポートや新機能の提供は、Db2ソリューションの『ハイブリッドデータマネジメント』ポートフォリオをさらに高度化し、AI時代に対応させる戦略の一環だ」と述べている。

Db2のポートフォリオを3エディションに整理

 IBMはDb2 V11.5の発表と合わせて、Db2ポートフォリオを「Db2」「Db2 Standard」「Db2 Advanced」の3エディションに整理した。これら3つは同じコードベースを共有するため、必要に応じてDb2からDb2 Advancedなどへアップグレードできる。

  • 「Db2」
    試用と開発用のために無料でダウンロードできる。開発者1人が利用することを前提としており、Db2の全機能を備えるが、ハードウェアに関する制限がある(4コアCPU、16GBメモリが上限)。さらに商用システムには利用できない
  • 「Db2 Standard」
    中堅企業や大企業の一部門に置かれた本番環境での利用を想定して設計されている
  • 「Db2 Advanced」
    中堅企業と大企業向けに設計されており、トランザクションやオペレーション分析のワークロードに最適化されている。コンピュートとストレージの制限がなく、物理サーバと仮想サーバにデプロイできる

 Db2 V11.5では、搭載するCommon SQL Engineもアップデートされており、ユーザーは多様なデータソースにアクセスできる。例えば、既存のDb2ファミリー製品(「IBM Db2 Warehouse」「IBM Db2 Big SQL」「IBM Integrated Analytics System」など)、「IBM PureData for Analytics(Netezza)」システムにアクセスできる他、「Oracle」「Teradata」「Microsoft SQL Server」「Amazon Redshift」にもアクセス可能だ。

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