Microsoftは、.NET開発者向けのオープンソースのクロスプラットフォーム機械学習(ML)フレームワークの最新版「ML.NET 1.1」を発表した。ML.NET自体の改善の他、内蔵するModel Builderを改良した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Microsoftは2019年6月11日(米国時間)、.NET開発者向けのオープンソースのクロスプラットフォーム機械学習(ML)フレームワークの最新版「ML.NET 1.1」を発表した。
ML.NETはWindowsやLinux、macOSに対応する。AutoML(自動化された機械学習)を利用して、カスタムMLモデルを簡単に作成するための「Model Builder」(Visual Studio用のシンプルなUIツール)とCLI(コマンドラインインタフェース)を提供する。
ML.NETを使うことで、開発者は既存のツールやスキルを用いてカスタムAIを開発し、アプリケーションに組み込むことができる。感情分析やレコメンデーション、画像分類といった一般的なシナリオのためのカスタムMLモデル作成が可能だ。
2019年5月に公開されたML.NET 1.0とModel Builderに対して、次のような機能を改善している。
IDataviewでインメモリ画像をサポート
ML.NETの従来バージョンでは、モデルに画像を使う場合、必ずファイルパスを指定して、ストレージ上のファイルから画像を読み出す必要があった。ML.NET 1.1では、インメモリ画像を読み出し、直接処理できるようになった。
新しい異常検知アルゴリズムの追加(プレビュー版)
異常検知アルゴリズム「SrCnnAnomalyDetection」がNuGetパッケージ「Microsoft.ML.TimeSeries」に追加された。このアルゴリズムは、「Super-Resolution Deep Convolutional Network」に基づいている。このアルゴリズムのメリットの一つは、事前トレーニングが不要なことだ。
新しい時系列予測コンポーネントの追加(プレビュー版)
NuGetパッケージのMicrosoft.ML.TimeSeriesに追加された時系列予測コンポーネントにより、特異スペクトル分析(SSA)に基づく時系列予測モデルを実装できる。このコンポーネントは、ML.NETでは「AdaptiveSingularSpectrumSequenceModeler」と呼ばれている。
こうした時系列予測は、データが何らかの周期的な要素を持ち、因果関係を持つイベントがあるタイミングで発生する(または発生しない)場合に、非常に役立つ。例えば、さまざまな季節的要因(長期休暇期間や販売期間、週末など)に影響される販売予測など、時間要素が重要なタイプのデータがこれに当てはまる。
この他の細かい改良点もある。内部TensorFlowがバージョン1.12.0から1.13.1に変わり、NuGetパッケージ「Microsoft.ML.TensorFlow」が0.12から0.13(プレビュー版)になった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.