ClouderaとHortonworks、統合後の新製品について具体的に聞いたCloudera創始者兼CTOにインタビュー(2/2 ページ)

» 2019年07月05日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 「クラウド上でのインフラの展開は、顧客の持つクラウドアカウントを使って自動的に実行する。インフラ配備や利用制御、監視も行う。クラウド利用料金は各クラウドベンダーが顧客に直接請求することになる」

 新製品のパブリッククラウド対応は、まずAWSとAzureで実現する(AWSの場合はAmazon EKS、Amazon S3を使う)。その後は、できるだけ多くのクラウドへの対応を進めていきたいという。

既存のユーザーは、どのように移行を進められるのか

 アワダラ氏は、新製品CDPを2019年夏にリリースすると話した。ただし、夏に提供開始するのはクラウドで動く「CDP Public Cloud」だ。オンプレミス版は冬にリリースするという。

 既存のClouderaおよびHortonworksユーザーの、CDP Public Cloudへの移行は容易だという。

 「合わせて移行サービスを提供するが、これを使うと、既に話したように、ボタン1つに近い感覚でパブリッククラウドへデータ、メタデータ、スキーマ、セキュリティ、ジョブを移行できる。このプロセスは大幅に自動化される。コードやSQLの書き換えは全く必要ない」

 一方、オンプレミス版への移行は、ストレージ部分がコンテナ化されるため、コードの修正が必要となる。そこでClouderaではまず、演算処理部分をコンテナ化し、既存のストレージ/データを使うバージョンを、今冬に提供開始する。

 「そして『サイドカー』という選択肢を提供する。既存ユーザーは既存バージョンと並行して、新バージョンの演算処理部分を動かせる。ストレージは既存のままだ。その上で、既存のコードを少しずつ修正していくことができる。次にClouderaは、2020年後半に、『CDP Storage Cluster』という製品をリリースする。そこで顧客は、データを既存クラスターからCDP Storage Clusterにコピーし、既存クラスターを消去することで、移行を完了できる。CDH 5.xおよびHDP 2.xは2020年末、CDH 6.xおよびHDP 3.xは2022年末にサポート期間が終了する。従って、全てのユーザーは、2022年中に新製品へ移行することになる」

 アワダラ氏は、新製品CDPの特徴を、あらためて次のようにまとめた。

 「使いやすくなるということに尽きる。スケーリングなど、運用がしやすくなる。クラウドへの移行や併用がワンクリックで行える。また、SparkやImpalaなどのソフトウェアで複数バージョンが活用できる。そして多様なワークフローへの最適化ができ、開発者はさまざまな環境を機動的に活用して、生産性を高めることができる」

パブリッククラウドには、どう対抗していくのか

 パブリッククラウドとの親和性も強調するアワダラ氏だが、これらのサービスがネイティブに提供するデータ関連サービス群が、Clouderaに競合する存在として急速に成長してくる可能性は高い。パブリッククラウドのネイティブなデータ関連サービスに対する優位性を、どう訴えていくのか。

 「説明したように、オンプレミスのワークロードをクラウドにも容易に移行できるシンプルな『ボタン』を提供することがカギになる。書き換えは完全に不要だ。現時点では、例えばオンプレミスのImpalaの代わりにAmazon Redshiftを使おうとすると、SQLクエリやスキーマなど、さまざまな変更を加えなければならない。これでは顧客の活動が大幅にスローダウンしてしまう」

 「もう1つの問題は、例えばいったんAzure Cosmos DBに合わせて書き換えたら、これを使い続ける羽目になる。その後Microsoftが料金を値上げしたとしても、他への移行が難しい。一方、クラウドでもCDPを使ってもらえるなら、CDP Public Cloudが利用するクラウドリソースはKubernetesサービス、ストレージサービスなどに限られるので、他への移行は簡単だ」

 「つまり結局のところ、クラウドに対する優位性は、オンプレミスにおける当社製品のこれまでの優位性と同じだ。オープンソースソフトウェア(OSS)であるため、人々は安心して使ってくれる。一部のクローズドなベンダーのように、市場を席巻したら、料金を上げるといったことはできない。私たちが不当に料金を上げれば、ユーザーはいつでもOSSを直接活用し、自身でプラットフォームを組み立てることができるからだ。つまり、データレイヤーに関しては、クラウドに非依存であること、これが戦略的に最も重要な差別化ポイントだ」

 「もう1つ指摘したいのは、例えばきめ細かなセキュリティだ。例えばAWSはRedshiftに関して優れたセキュリティの仕組みを持っている。しかしこれは、Amazon EMRのセキュリティと異なり、Amazon KinesisやAWS Lambdaのセキュリティとも切り離されている。一方私たちは、データエンジニアリング、検索、SQL、機械学習など、全てのプロセスにわたって単一のセキュリティ/ガバナンスポリシーに基づく運用ができる。Fortune 5000にリストされるような企業がClouderaを使ってくれている理由の1つに、こうした一貫性の保たれたガバナンスがある」

 アワダラ氏は、5年以内にAWSが同社のサービス全体に適用できる、一貫したセキュリティ/ガバナンス機能を提供し始める可能性はあるが、「(例えば)Azureにも共通に適用できる機能を開発する可能性は、無きに等しいだろう」と付け加えた。

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