GitHubは、2019年11月にサンフランシスコで開催した年次イベント「GitHub Universe 2019」で、「あらゆる開発者にとっての『家』」というメッセージを示した。その具体的な意味は、今回のイベントを機に、大きく変わろうとしている。
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GitHubは、2019年11月にサンフランシスコで開催した年次イベント「GitHub Universe 2019」で、「あらゆる開発者にとっての『家』」というメッセージを示した。これを耳に心地よい言葉を並べただけと受け取ることも可能だし、以前からGitHubが訴えてきたことと、基本的に変わらないようにも感じられる。だが、その具体的な意味は、今回のイベントを機に、大きく変わろうとしている。
GitHubは、ソフトウェア開発バージョン管理システムサービスを超え、開発ワークフロー全体にわたり、一人一人の開発者や開発チームの日常を支える存在になることを目指してきた。
今回のGitHub UniverseでGitHubは、モバイル端末でGitHubが使える「GitHub for mobile」のβ版と、ワークフロー自動化の仕組みである「GitHub Actions」の正式版を発表した。この2つは、開発者/開発チームの日常体験を飛躍的に改善する最強の組み合わせだと、GitHubのプロダクト担当エンジニアリング・バイスプレジデントであるダナ・ローソン氏は話す。
GitHub for mobileでは世界中のどこにいても開発チームメンバーとのコラボレーションができ、また、GitHub Actionsでは、開発にかかわる周辺作業から開発者を解放し、労力と心理的な負荷を軽減しながら、スピードを高められるからだという。
「この2つのツールは、コードを書くという作業が、開発ライフサイクル全体から見れば一部に過ぎないという認識から生まれたもの。開発者はレビューワー、運用担当者、デザイナー、ドキュメントライターなど、多様な立場の人々と日常的にやり取りしながらソフトウェアを生み出し、フィードバックを受けて改善のサイクルを回している。こうしたプロセスにおける各ステージで、さまざまな理由によって時間的なロスや間違いによる手戻りが発生しやすい状況が生まれている。こうしたことからの解放により、開発チームのメンバー全員が、自分たちのアイデアを形にすることに集中できるようにしたい。ソフトウェアの力で自らの属する業界を変えることに専念できるようにしたい」(ローソン氏)
GitHub for mobileは、iOS、Android端末に対応したGitHubアプリだ。ネイティブなモバイルアプリならではの使い勝手でGitHubを使うことができる。
「GitHubはこれまでも通知(ノーティフィケーション)などを通じ、コラボレーション機能を提供してきたが、GitHub for mobileでは、真にコミュニケーションアプリのようなユーザー体験を実現できた」とローソン氏は言う。
誰もがモバイル端末で、どこにいても、いつでもメールやメッセージングのアプリを使うようになっている。これと全く同じ感覚で、チームメンバーとやり取りするためのソーシャルアプリとして使えるという。
「開発者がいつもPCに向かっているわけではない。ソフトウェア開発はクリエイティブな仕事で、私たちは問題を解決するアーティストのような存在でもある。私自身、シャワーを浴びていたり、眠りについたりするときに、いいアイデアが生まれることがある。そういうときに、PCに戻ることなく、イシューをオープンしたりできる」(ローソン氏、以下同)
外出していることが多いローソン氏にとって、いちいちポータブルPCを開くことなく、開発チームメンバーのニーズに応えられるのは非常に便利だという。
また、世界中に開発チームが広がっているGitHubのような企業では、時差を乗り越えてボトルネックを減らし、全体としてのスピードを高めるために生かすことができるとローソン氏は主張する。
「『1日24時間働け』と言っているのではないけれど、夜遅い時間の東京で誰かが承認を求めていて、私が(朝早い時間の)サンフランシスコで目覚めているのであれば、机に向かうことなく対応できる」
開発チームの多くは、既にSlackなどのツールで連絡を取り合っている。GitHub for mobileは、こうしたコミュニケーションツールの機能を、タスクの実行機能と統合している点が重要なポイントだという。
「『Slack』は広く使われているが、ソーシャルツールでしかないことは確かで、やり取りをアクションに直接つなげることはできない。このギャップを埋めるツールとして、GitHub for mobileを設計している」
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