矢野経済研究所は2019年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向に関する調査結果を発表した。2020年度以降は「伸びの反動」を受けると慎重に見ており、緩やかな成長を見込む。
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矢野経済研究所は2019年11月27日、2019年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向に関する調査結果を発表した。
矢野経済研究所の推計によると、国内民間企業のハードウェア、ソフトウェア、サービス含むIT市場規模は、2018年度が対前年度比2.8%増の12兆4930億円だった。2018年度はワークスタイル変革に関する取り組みが堅調に推移した他、民間企業の大規模システムの更改が目立った。2020年1月に予定されている「Windows 7」のサポート終了に向けた「Windows 10」への買い替え需要も旺盛だ。
同社は、こうした流れが2019年度も続くと見ている。さらに、製造業などでグローバル競争力を強化する機運が高まっており、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対するIT投資案件が増加傾向にあると指摘する。金融業でも、「FinTech」と呼ぶITを活用したサービスを展開する企業が拡大基調にあるなど、IT投資は順調だ。2020年度に商用サービスの提供が始まる5G(第5世代移動通信システム)関連の投資も期待できる。
ただし矢野経済研究所は、2020年度以降は伸びの反動を受けると慎重に見ており、緩やかな成長を見込む。2019年度の市場規模は対前年度比3.4%増の12兆9180億円、2020年度は同1.6%増の13兆1240億円、2021年度は同1.5%増の13兆3200億円と予測する。
同調査は、毎年、今後3年間でIT投資を増やすソフトウェアについて調べている(複数選択)。今回の調査で回答が最も多かったのは、前年もトップだった「セキュリティ関連ソフトウェア」と、同率の「ERP(基幹業務統合管理)」で、回答率は41.9%だった。最近3年間で、セキュリティ関連ソフトウェアと回答した割合が年々低下しているのと対照的に、ERPは年々上昇している。3位はSFA(営業支援システム)、4位はCRM(顧客情報管理)、5位はKM(情報共有/文書管理など)だった。
矢野経済研究所は、ERPがトップになった要因として、経営環境の変化に合わせて基幹システムを更新する動きが進んでいることや、ERPパッケージのクラウド化が進んでいること、SAPのERP保守サポート期限が2025年に迫っていることなどを挙げている。
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