企業の技術投資が世界で拡大、KPMGコンサルティングがCIOを対象に意識調査投資予算が過去15年で最大に

KPMGコンサルティングの意識調査「Harvey Nash/KPMG 2019年度CIO調査」によると、技術への投資を拡大した企業の割合が過去最高となった。人材不足は、データ分析やサイバーセキュリティ、AI(人工知能)分野を中心に、2008年以来最高の水準に達した。

» 2019年10月25日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 KPMGコンサルティングは2019年10月23日、全世界のCIO(最高情報責任者)とITリーダーを対象に実施した意識調査「Harvey Nash/KPMG 2019年度CIO調査」の結果を発表した。それによると、技術への投資を拡大した企業の割合が過去最高となった。また人材不足は、データ分析やサイバーセキュリティ、AI(人工知能)分野を中心に、2008年以来最高の水準に達していた。

 技術関連予算について調べると、過去1年間で予算が増加したと回答した割合は55%。これは、2018年に比べて6ポイント上昇し、過去15年間で最も高かった。日本は、世界平均と同等の56%だった。技術関連予算増加の傾向は今後もしばらく続きそうだ。2020年も予算増加を見込むと回答した割合は52%、人員増加を予想した割合は51%だった。

サイバーセキュリティが先導、イノベーションにもつながる

 技術関連の中でもサイバーセキュリティの重要性が高まっている。経営層の優先課題としてサイバーセキュリティを挙げた割合は56%で、2018年と比べて7ポイント上昇した。KPMGコンサルティングでは、多くの経営層とCEOが顧客の信頼を戦略の中心に据えており、データとシステムをサイバー攻撃の脅威から守ることが極めて重要になっているとしている。

 それを裏付けるように、サイバーセキュリティのリスクが顕在化していることも分かった。過去2年間に深刻なサイバー攻撃を受けた企業の割合は、2014年に22%だったが、2017年には32%に達し、ここ3年間は32〜33%で高止まりしている。

調査の一部を抜粋(出典:KPMGコンサルティング

 こうした状況によって、ITリーダーはデータセキュリティがイノベーション能力に影響を及ぼすと感じていることが、今回の調査で分かった。回答者の83%が、イノベーション能力がある程度制限されると感じており、14%が大きな負担に感じていた。

ビジネスモデルの変革を計画する各国、日本は?

 次に、企業の主要な事業活動について、今後3年間での変化見込みを聞くと、製品やサービス、ビジネスモデルを抜本的に見直すと回答した割合は6%、大規模に変革すると回答した割合は38%、小規模な変革は41%、わずかな変革は12%だった。

 抜本的な変革は、製品の販売からサービスの販売への変更といった、収益モデルの刷新を意味する。大規模な変革は、既存の製品やサービスと同等以上に有力な新製品を投入することを表す。これら2つを合わせた、事業活動を根本的に見直す企業は、全世界で44%を数えたのに対して、日本では23%にとどまった。

AIによって置き換えられる労働力の割合は?

 5年後にオートメーション化やAIによって置き換えられる可能性のある労働力の割合については、10%との回答が最も多く、回答率は全体の21%を占めた。次点は、置き換えられる可能性のある労働力は5%との回答で、全体の20%だった。置き換えられる可能性のある労働力が20%以上になると予測した割合も、合計で33%に上った。ただし、置き換えられる可能性のある労働力が70%以上になると予測したCIOはいなかった。

 一方、人材不足については深刻だ。人材不足が原因となって変化のペースについていけないと回答した企業の割合は、2018年から2ポイント増加の67%に達し、2008年以来最高水準になった。

 人材不足が顕著な分野は、ビッグデータ/分析(44%)、サイバーセキュリティ(39%)、AI(39%)、エンタープライズアーキテクチャ(34%)、ビジネスアナリシス(31%)だった。

 なお、今回の調査は、世界108カ国の3645人を対象に実施した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。