KPMGコンサルティングの意識調査「Harvey Nash/KPMG 2019年度CIO調査」によると、技術への投資を拡大した企業の割合が過去最高となった。人材不足は、データ分析やサイバーセキュリティ、AI(人工知能)分野を中心に、2008年以来最高の水準に達した。
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KPMGコンサルティングは2019年10月23日、全世界のCIO(最高情報責任者)とITリーダーを対象に実施した意識調査「Harvey Nash/KPMG 2019年度CIO調査」の結果を発表した。それによると、技術への投資を拡大した企業の割合が過去最高となった。また人材不足は、データ分析やサイバーセキュリティ、AI(人工知能)分野を中心に、2008年以来最高の水準に達していた。
技術関連予算について調べると、過去1年間で予算が増加したと回答した割合は55%。これは、2018年に比べて6ポイント上昇し、過去15年間で最も高かった。日本は、世界平均と同等の56%だった。技術関連予算増加の傾向は今後もしばらく続きそうだ。2020年も予算増加を見込むと回答した割合は52%、人員増加を予想した割合は51%だった。
技術関連の中でもサイバーセキュリティの重要性が高まっている。経営層の優先課題としてサイバーセキュリティを挙げた割合は56%で、2018年と比べて7ポイント上昇した。KPMGコンサルティングでは、多くの経営層とCEOが顧客の信頼を戦略の中心に据えており、データとシステムをサイバー攻撃の脅威から守ることが極めて重要になっているとしている。
それを裏付けるように、サイバーセキュリティのリスクが顕在化していることも分かった。過去2年間に深刻なサイバー攻撃を受けた企業の割合は、2014年に22%だったが、2017年には32%に達し、ここ3年間は32〜33%で高止まりしている。
こうした状況によって、ITリーダーはデータセキュリティがイノベーション能力に影響を及ぼすと感じていることが、今回の調査で分かった。回答者の83%が、イノベーション能力がある程度制限されると感じており、14%が大きな負担に感じていた。
次に、企業の主要な事業活動について、今後3年間での変化見込みを聞くと、製品やサービス、ビジネスモデルを抜本的に見直すと回答した割合は6%、大規模に変革すると回答した割合は38%、小規模な変革は41%、わずかな変革は12%だった。
抜本的な変革は、製品の販売からサービスの販売への変更といった、収益モデルの刷新を意味する。大規模な変革は、既存の製品やサービスと同等以上に有力な新製品を投入することを表す。これら2つを合わせた、事業活動を根本的に見直す企業は、全世界で44%を数えたのに対して、日本では23%にとどまった。
5年後にオートメーション化やAIによって置き換えられる可能性のある労働力の割合については、10%との回答が最も多く、回答率は全体の21%を占めた。次点は、置き換えられる可能性のある労働力は5%との回答で、全体の20%だった。置き換えられる可能性のある労働力が20%以上になると予測した割合も、合計で33%に上った。ただし、置き換えられる可能性のある労働力が70%以上になると予測したCIOはいなかった。
一方、人材不足については深刻だ。人材不足が原因となって変化のペースについていけないと回答した企業の割合は、2018年から2ポイント増加の67%に達し、2008年以来最高水準になった。
人材不足が顕著な分野は、ビッグデータ/分析(44%)、サイバーセキュリティ(39%)、AI(39%)、エンタープライズアーキテクチャ(34%)、ビジネスアナリシス(31%)だった。
なお、今回の調査は、世界108カ国の3645人を対象に実施した。
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