アクセンチュアが実施した調査によると、優秀な企業は実施したPoCの半数以上を本格化して同業他社を上回る収益を挙げていた。しかもこうした企業では、実際のRODIが目標を上回っていた。
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アクセンチュアは2019年8月23日、産業分野の企業で本格化している実証段階の取り組みがデジタル変革に与える影響についての調査結果を発表した。それによると、成果を上げている企業はデジタル投資収益率(RODI:Return on Digital Investment)が高く、PoC(概念実証)を本格化しているため収益が他社平均を上回っていることが分かった。
今回の調査によると、製造業で優秀な企業は実施したPoCの半数以上を本格化して同業他社を上回る収益を挙げていた。しかもこうした企業では、成果が目標を上回っていた。同社の調査によると、優秀企業は平均22.2%のRODIを目標としていたのに対して、実際のRODIは25.4%だった。
アクセンチュアは、こうした優秀企業がイノベーションを拡大させ、他社よりも大きな成功を収めるために講じている共通点が4つあるとしている。それは「イノベーションを促す価値を定義する」「対外的な価値向上と内部変革の両立を重視する」「各事業部門でイノベーションを実現する」「社内にイノベーション専門組織を創設する」ことだ。
アクセンチュアで「インダストリーX.0事業」を統括するマネジング・ディレクターのAidan Quilligan氏は、次のように語る。
「優秀企業は、顧客が最も重視する価値を最初に特定した上で、その価値を実現するためにデジタル専門組織を創設し、組織全体の力を引き出している。優秀企業はそのようにして『あらゆる企業が直面するイノベーションの課題』を克服している」
これに対して優秀企業に該当しなかった企業は、優秀企業とほぼ同じ数のPoCを本格化したものの、RODIが低かった。しかもこうした企業は、RODIが業界平均よりも低かっただけではなく、目標にも達していなかった。具体的には、目標の7.1%に対して実際は6.4%しか達成できなかった。
アクセンチュアで素材・エネルギー業界の成長戦略業務を統括するシニア・マネジング・ディレクターのDave Abood氏は調査結果を次のように分析する。
「今回の調査で、組織のマネジメント方法によってイノベーション拡大の成否が分かれることが明らかになった。例えば、上級役職層や中間管理職、外部組織との間で、連携を促したり、説明責任の基準を明確に策定したりすることが有効だ。優秀企業以外の企業は、こうした優秀企業の行動を参考にすることで、RODIを大幅に向上できる」
なお今回の調査は、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、オランダ、英国、米国の17カ国、13業界の、組み立て製造と製薬や化学製造などのプロセス製造を代表する企業の上級役職者1350人を対象に実施した。
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