IBMは、「グローバル経営層スタディ『Build Your Trust Advantage:信頼による卓越』」を発表した。それによると、顧客からの「信頼」を得て、データそのものを「信頼」しつつ、エコシステムでデータ流通に対する「相互信頼」を形成できている企業がDXをけん引していることが分かった。
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IBMは2019年12月2日、世界98カ国20業種の経営者1万3000人以上を対象にした、事業や経営のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資や活動の内容に関する調査「グローバル経営層スタディ『Build Your Trust Advantage:信頼による卓越』」を発表した。今回が20回目になる。
IBMは「今回の調査によって、業界を問わず、『顧客からの信頼』を得て、『データそのものを信頼』しつつ、『エコシステムでのデータ流通に対する相互信頼』を形成できている企業がDXをけん引していることが分かった」としている。同社は、そうした企業の経営者を「Torchbearer」(先導者)と名付け、その先導者の観点からデジタル時代に求められるリーダーシップの在り方を分析した。
IBMによると、先導者には次のような4つの特徴があるという。
IBMは、前述の「顧客からの信頼」を獲得するには、顧客データの取り扱いが重要であることを先導者は認識していると説明している。具体的には、顧客データの取り扱いに関する透明性を確保し、説明責任を果たした上で、顧客データによって得られる価値を顧客と企業の双方が享受できるようにする必要があることを認識しているという。
IBMが実施したデータのプライバシーに関する調査によると、企業による自身のデータの取り扱いについて「1年前よりも関心を持つようになった」と回答した消費者の割合は81%に上った。そして、データの取り扱い方法を明示した企業には積極的にデータを提供する半面、「明示しない企業にはデータ提供を避ける」と回答した割合も81%あった。IBMは「多くの顧客が自らの情報の取り扱いに関して危惧するようになった」と指摘する。
このことから、顧客データの取り扱いに関する信頼を得た企業は、より多くの顧客データを活用できるようになる、といえる。そして顧客からのデータ提供の見返りとして、価値のあるサービスを顧客に提供し続けることで、顧客は自らのデータを提供し続ける。
IBMでグローバル・ビジネス・サービスのシニア・バイス・プレジデントを務めるMark Foster氏は、「優れた企業は、顧客とのデータ共有の根幹に『信頼』を据えることで、さらなる卓越に向けた取り組み余地を拡大し続けている。しかし、そもそも、顧客データや社内データ、パートナー企業との共有データを経営者自らが信頼できなければ、正しい意思決定は難しくなり、すぐに同業他社に先を越されてしまう」と述べている。
IBMは、顧客データの取り扱いだけでなく、自社内の「データそのものを信頼」することや、「エコシステム上の相互信頼」も重要だとしている。
先導者の回答を見ると、全経営陣が自社データに絶対の信頼を持って、意思決定の質とスピードを向上させていると回答した先導者の割合は80%。新たなビジネスモデル開発のためにデータを活用していると回答した先導者は70%、新市場参入の意思決定にデータを活用していると回答した割合は66%だった。
エコシステムのパートナーとのネットワーク拡大を志向していると回答した先導者の割合は85%。そのようなパートナーとの広範なデータ共有を進めていると回答した先導者は56%、データをマネタイズする戦略をすでに持っている先導者は62%だった。
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