ITインフラ&オペレーションチームは4つのアプローチにより、デジタルビジネスの革新とインフラの拡張について、より的確な意思決定を行える。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
国連によると、1950年代には世界の人口の30%が都市に住んでいた。現在、この割合は55%に上昇しており、2050年までに68%に達する見通しだ。
大都市の発展は、ビジネスのあらゆる側面に多大な影響を与えそうだ。ITインフラ&オペレーション(I&O)チームは今後、インフラをいたるところに展開する考え方を取り入れ、多種多様な要求に俊敏に対応していく必要がある。
「今日のI&Oリーダーはインフラに関する意思決定をする際、技術自体に加えて、ビジネスに影響するさまざまな外的な力も重視し始めている」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターのジョナサン・フォレスト(Jonathan Forest)氏は指摘する。
「こうした戦略的思考を活用したITの意思決定は、これまでは必ずしも行われてこなかった」(フォレスト氏)
例えば、つい最近まで、新しいデータセンターの配置に関する議論の大部分は、もっぱら技術に焦点が当たっていた。今では、議論において技術が考察されるだけでなく、ビジネス、さらには業界における自社の位置に影響する可能性があるさまざまな外的な力も包括的に検討されているはずだ。ニーズや要件に沿った戦略を進めることが極めて重要になっている。
Gartnerの最近の調査で、I&Oリーダーは3つの最大の脅威として、技術課題の管理、スキル/リソースの不足、変化への対応能力の不足を挙げていた。インフラの進化や拡張に伴ってI&Oチームに降りかかる要求をクリアしていくには、I&Oリーダーは、チーム内の戦略的思考スキルを高めなければならない。
I&Oリーダーは現在、日々の行動の一環として、チームメンバーの戦略的思考を促進するのに苦労している。I&Oリーダーは、チームが縦割り思考を排除した上で、ITを変え、ITに影響を与えるさまざまな力の相互関係を踏まえて、これらの力に対応していくよう導く必要がある。
以下の4つのアプローチは、I&Oチームが大局に立って意思決定をし、ITオペレーションを改善し、成果を高めるのに役立つ。
I&Oスタッフは、構造化された戦術的な問題に取り組むのは得意だが、目標や潜在的な成果があいまいな課題に対して戦略的に考えるのは難しい。構造化されていない問題を解決する技法を理解し、適用できるように、I&Oチームを教育する必要がある。そうすれば、問題が明確に定義されていない場合や、解決策が簡単に見つからない場合に、結果を出す助けになる。
I&O計画は実行しにくい。ビジネス目標が明確ではない場合や、計画が複雑過ぎると考えられる場合が多いからだ。ビジネス目標に沿ったトップダウンアプローチでI&O計画を策定すべきだ。I&Oチームはこの計画に基づいて、漸進的な変革と抜本的な変革のどちらが適切なアプローチかを判断できる。
IT投資の価値ドライバー(価値を左右する要因)を経営幹部に伝えることは、財務項目ではなくITに携わるI&Oチームにとって厄介だが、非常に重要だ。個々の投資を検討する前に、I&Oチームに投資について、ビジネスとの整合性やリスク、タイミング、成功の確率に関連する重要な質問をしてから答えさせるとよい。
I&O戦略は、一般的な業界慣行に影響されたり、特定ベンダーの技術を導入したいという意向に左右されたりする部分が大きい。これらは理解できるアプローチだが、これでは、I&O戦略はビジネス目標およびI&O目標との整合性が取れなくなり、戦略としての意味がなくなってしまう恐れがある。I&O戦略を進める上では、ステークホルダーと共同の成果、目標にフォーカスし、ビジネス戦略との整合性を保つ必要がある。
出典:4 Ways to Help IT Teams Think Strategically(Smarter with Gartner)
Manager, Public Relations
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