アプリストアでは、ユーザーに対するリコメンデーション機能の提供を予定する。これは、利用者の業種などに応じ、役立ちそうなアプリを優先表示するものになるという。また、ユーザーによる各アプリの評価を星で示すなどし、全般的にアプリの品質を高めていくとしている。
一方、開発者にはダッシュボードを提供するという。これにより、アプリストアに自身のアプリを登録した後、ユーザーからのフィードバックや利用状況を、容易に確認できるようになるという。
横路氏に、freeeにとってのAPI公開のビジネスメリットをあらためて聞くと、「さまざまなニーズを持った人たちが、好みの使い方やインタフェースを通じてfreeeを使ってくれれば、プラットフォームとしての利用が広がる」と答えた。
この意味では、一般的なテクノロジーパートナープログラムとあまり変わるところはない。そうであれば、APIを無償で公開し、他ベンダーが自発的に統合してくれることを期待する以上の活動が必要になってくる。
freeeでは以前から、一部のパートナーと個別に協業してきたが、今後はこの活動をさらに強化する。横路氏は、レベニューシェアの仕組みを構築していきたいと話した。また、Salesforce.comがやってきたように、必要に応じた出資や買収も検討していくという。
この種のプログラムでは、明確なプロダクトロードマップを示さないことに、パートナーが不信感を抱くケースが見られる。パートナーが開発してきたものと同様の機能や、パートナーの自社との連携に大きな影響を与える変更を、ある日突然、ベンダーが事前告知なしにリリースするといったことだ。
横路氏は、これまでも可能なレベルでプロダクトロードマップを公開してきたが、今後もこれを続けていくという。パートナーに大きな影響を与える変更については、半年などのリードタイムをとって、開発者コミュニティーに告知しているという。また、freeeユーザーからのフィードバックについても、さまざまな形でパートナーと共有していくと話した。
とはいえ、「オープンプラットフォーム」「オープンイノベーション」といったスローガンでIT関連企業が何らかのプログラムを推進する例は多いが、成功例が多いわけではない。freeeは、同社の取り組みを、どう成功に導くつもりなのだろうか。
横路氏は次のように答えた。
「“How”はオープンだとしても、“Why”と“What”は誰かが示さなければならないと思っている。『何を目指すか』がはっきりしていれば、“How”がオープンなので、協力し合いやすいということになる。freeeの場合は、 “人工知能のCFO(最高財務責任者)”を目指している。30年、あるいは40年かかるかもしれないが、僕と佐々木(freeeの佐々木大輔CEO)は創業者として、freeeが目指していることを訴え続け、賛同してくれる人たちとオープンな形で一緒にやっていきたい」
横路氏の説明によると、企業の経営には「キャッシュフローがうまく回せる」「利益のコントロールができる」の2つの軸が必要だが、「Freeeを使えば経営がうまくいくようにする」という自社の目標にたどり着くために、これらに関する情報を経営者ができるだけ早い段階で把握し、手を打てるようにしていきたいという。
キャッシュフローに関しては、銀行との連携を通じ、キャッシュの出入りをリアルタイムでfreeeに取り込めるようになっており、同社が設立した金融子会社は、請求書をファクタリングするサービスを提供している。
「次は利益のコントロールに取り組んでいく。そのためには売り上げや仕入れの見通しに関する情報を詳細に把握する必要がある」
人工知能のCFOとは、セールスパイプライン情報や経費/コスト関連情報、キャッシュフローといった、あらゆる財務情報がリアルタイムに集まり、条件を変えてシミュレーションできるようにし、例えば今後の成長のために今期は特定分野に投資する、あるいは特定の案件を受けないようにするなどのアクションにつながる材料を与えられるような存在なのだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.