「Google Chrome」ブラウザ、リソースを大量消費するWeb広告をブロック数カ月のテストを経て8月末から正式に開始

Googleは「Chrome」ブラウザに、ディスプレイ広告が使用できるリソースを制限する機能を導入する。

» 2020年06月08日 08時00分 公開
[@IT]

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 Googleは2020年5月14日(米国時間)、バッテリーやネットワークなど、ユーザーデバイスのリソースを大量に消費するWeb広告があることを踏まえ、「Chrome」ブラウザに、ディスプレイ広告が使用するリソースを、ユーザーが反応する前に制限する機能を導入すると発表した。

 この機能により、広告が使用したリソース量が上限に達すると、その広告のフレームはエラーページに移動し、広告がリソースを消費し過ぎたことをユーザーに知らせる。例えば、このように広告がアンロードされた場合のフレームの表示は次のようになる。

広告がアンロードされた場合のフレームの表示(出典:Google) 広告がアンロードされた場合のフレームの表示(出典:Google)

 Googleは、ネット広告の改善を目指す団体「The Coalition for Better Ads」が策定する広告基準「Better Ads Standard」に従い、ほとんどのユーザーが受け入れられないと感じる広告をブロックする取り組みを以前から行っている。

 最近、ごく一部のディスプレイ広告が、ユーザーが知らないうちにデバイスのリソースを著しく消費している実態が分かったため、Googleは、ユーザーがバッテリーやネットワーク帯域を節約できるように、広告の使用リソースを制限する機能の導入を決めた。デバイスのリソースを大量に消費するこうした広告には、暗号通貨を採掘するものや、稚拙なプログラミングがなされたもの、ネットワーク利用に最適化されていないものなどがある。

 Googleによると、ディスプレイ広告のリソース使用量が以下の上限のいずれかに達すると、その広告はアンロードされる。

  • メインスレッドを合計60秒以上使用
  • 30秒表示される広告がメインスレッドを15秒以上使用
  • ネットワーク帯域幅を4MB以上使用

リソースを消費しすぎる広告は全体で何%あるか

 現在、リソース使用量がこれらの上限を超える広告は、全体の0.3%にとどまるが、それらの広告がネットワーク帯域幅の27%、CPUの28%を使用しているという。

上限を超える広告(Heavy Ads)、それ以外の広告(Non-Heavy Ads)の割合と各広告のリソース使用量の合計(出典:Google) 上限を超える広告(Heavy Ads)、それ以外の広告(Non-Heavy Ads)の割合と各広告のリソース使用量の合計(出典:Google)

 Googleは、広告の使用リソースを制限するこうした機能を今後数カ月にわたって実験的に提供し、2020年8月末近くにリリースするChrome安定版から、この機能を正式に提供開始する。同社はこの数カ月の実験期間に、広告制作者やツールプロバイダーが、新しい上限を考慮したワークフローに移行することを期待している。また同社は、この新機能が広告に与える影響を広告主が理解する助けになるように、Chromeがアンロードした広告に関するレポートに、広告主がアクセスできるようにする。

 この新機能は、Chrome 84(β版が5月28日〜6月4日にリリース予定、安定版が7月14日にリリース予定)以降で、以下の設定で試せるようになる。

有効化

chrome://flags/#enable-heavy-ad-intervention

無効化

chrome://flags/#heavy-ad-privacy-mitigations

 Googleは広告の使用リソース制限により、ユーザーが画面上でもバックグラウンドでも、快適なブラウズ体験を享受できるようにする取り組みを継続していくと述べている。

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