「オーガニック」「フェアトレード」と同様に、プライバシーへの取り組みが商品購入の理由として浮上しつつある。この動きにどう対応すればいいだろうか。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
消費者が商品を購入する理由として、プライバシーが浮上しつつある。この10年、「オーガニック」「フェアトレード」「動物実験なし」といったラベルが、商品の販売を押し上げてきたのと同じ流れだ。
「“プライバシーファースト”の商品がこうしたトレンドに加わるだろう」と、Gartnerのアナリストでバイスプレジデントのバート・ウィレムセン(Bart Willemsen)氏は見る。
「顧客の信頼を高めるには、経営陣は、全体的かつ適応型のプライバシープログラムを構築する必要がある。そして法的な個々の課題に受け身で対応するのではなく、プロアクティブ(自発的、能動的)に手を打っていかなければならない」(ウィレムセン氏)
Gartnerは2019年に、全体的に顧客満足度が低下し、信頼が損なわれ、プライバシー侵害が増えているとの見方を示した。現在、顧客や企業、デバイスのあらゆるやりとりにこうした傾向が広がっている。
そこで顧客はプライバシー保護を求め、世界の政治家がこの要求に応えようとしている。
セキュリティとリスク管理のリーダーは、Gartnerが2020年に発表したプライバシーに関する以下の予測に留意し、自社の透明性の向上と顧客への安心の提供に役立ててもらいたい。
2018年に欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)が施行されて以来、世界60以上の国や地域で現代的なプライバシーおよびデータ保護法が制定、または提案されている。その中にはアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、エジプト、インド、インドネシア、日本、ケニヤ、メキシコ、ナイジェリア、パナマ、米国、シンガポール、タイなどが含まれる。
「人々はプライバシー保護を積極的に求めるようになっており、議員は対応を進めている。グローバルに事業を展開している企業は、GDPRに従って業務を標準化することに注力し、さらに現地の規制要件に合わせて調整をすべきだ」(ウィレムセン氏)
ウィレムセン氏は、技術ソリューションをプライバシー保護対策の整備だけでなく、確立したプライバシー管理プログラムの部分的な自動化にも利用することを勧めている。これは、主体権の要求への対応や、同意とプリファレンスの管理(CPM)のプロセスで特に重要だ。
規制の強化に伴い、企業はコンプライアンスと顧客満足のために、高い権限を持つシニアレベルのプライバシー責任者を採用するようになる。
GDPRが2018年に施行される前は、公式なプライバシー責任者の数は世界で数千人にとどまった。2019年には、既に50万以上の企業において、プライバシー責任者の専門知識および経験を活用していると推計されている。GDPRの対象にならないことを理由にプライバシー責任者を採用してこなかった企業や組織も、追随する必要がある。
「取締役会に直接報告するプライバシー責任者を任命できるのが理想的だ。現在の規制下でプライバシー責任者が必要かどうかにかかわらず、企業戦略の策定に加わり、戦略、戦術、オペレーションレベルで企業に影響を与える、プライバシー分野専任の責任者を置くことが必要だ」(ウィレムセン氏)
出典:Gartner Predicts for the Future of Privacy 2020(Smarter with Gartner)
Director, Public Relations
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