2020年のデータ/アナリティクス技術の10大トレンドを発表――Gartner新型コロナ後のビジネスの回復や改革に向けた考慮点

Gartnerは、企業がデータを分析、活用する上で考慮すべき2020年のデータおよびアナリティクス技術の10大トレンドを発表した。

» 2020年06月29日 08時00分 公開
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 Gartnerは2020年6月22日(現地時間)、2020年のデータおよびアナリティクス技術の10大トレンドを発表した。

 Gartnerは、データとアナリティクスの担当リーダーが、企業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を乗り越えて、ビジネスの回復や改革を加速できるよう支援するには、以下の10のトレンドを踏まえる必要があると述べている。

トレンド1:AIのスマート化、高速化、役割の拡大

 2024年末までに企業の75%が、試験的に進めてきた人工知能(AI)の展開をオペレーション化する見通しだ。これに伴い、ストリーミングデータおよびアナリティクスインフラが5倍に増加すると予想されている。

 機械学習(ML)、最適化、自然言語処理(NLP)などのAI技術が、新型コロナウイルスの感染拡大や、対策の効果や影響に関する重要な洞察や予測を提供する。

 強化学習や分散学習のようなスマートAI技術も、複雑なビジネス状況に対応するための柔軟な適応型システムの構築に貢献する。

トレンド2:ダッシュボードの衰退

 拡張アナリティクスやNLPの利用により、自動化、コンシューマー化されたエクスペリエンスを提供する動的なデータストーリーが、ビジュアルなポイント&クリック型のオーサリングとデータ探索に取って代わる。これによってユーザーが、事前定義されたダッシュボードを使う時間が減少する。

トレンド3:意思決定インテリジェンス

 2023年までに大企業の33%が、意思決定モデリングなどの意思決定インテリジェンスを実践するアナリストを起用するようになる。意思決定インテリジェンスは、意思決定管理や意思決定支援などの分野を統合し、データとアナリティクスのリーダーによる意思決定モデルおよびプロセスの設計、モデリング、整合性確保、実行、モニタリング、調整を支援するフレームワークを提供する。

トレンド4:Xアナリティクス

 Gartnerは「Xアナリティクス」という用語を造語した。「X」は、さまざまな構造化および非構造化コンテンツのデータ変数であり、Xアナリティクスは、テキストアナリティクス、ビデオアナリティクス、音声アナリティクスなどの総称を指す。

 Xアナリティクスは、AIやグラフアナリティクスなど他の技術と組み合わされ、自然災害などの危機的事態の特定、予測、対応計画の策定に重要な役割を果たす。

トレンド5:拡張データ管理

 拡張データ管理は、MLやAI技術を利用して、オペレーションの最適化や改善を可能にする。また、監査、系統解析、レポーティングに使われるメタデータを、動的システムの稼働に利用できるように変換する。

 拡張データ管理エンジンは、既存の使用状況データやワークロードデータを使って、オペレーションの調整や、構成、セキュリティ、パフォーマンスの最適化を実現する。

トレンド6:クラウドは当然の前提に

 2022年までにパブリッククラウドサービスは、データとアナリティクスのイノベーションの90%にとって不可欠になる。データとアナリティクスの問題は、「特定のサービスにいくらコストがかかるか」から、「特定のサービスが料金の対価として、ワークロードのパフォーマンス要件をどの程度満たすか」に変わっている。データとアナリティクスのリーダーはクラウドに移行する際、クラウド機能を利用できるワークロードに優先順位を付け、コスト最適化に注力する必要がある。

トレンド7:データとアナリティクスの違いがあいまいに

 データとアナリティクス機能はこれまで、別物と考えられ、そのように管理されてきた。だが、拡張アナリティクスによって実現するエンドツーエンドのワークフローを提供するベンダーが、この2つの市場の違いをあいまいにしている。

 これに伴い、これまで別々だったデータとアナリティクスの仕事の交流やコラボレーションが進む。その影響はこれらの技術とその機能だけでなく、それらをサポートし、使用する人とプロセスにも及ぶ。

トレンド8:データマーケットプレースおよび取引所

 2022年までに大企業の35%が、正式なオンラインデータマーケットプレースでデータを売買するようになる。この割合は2020年には25%に達する見通しだ。データマーケットプレースおよび取引所は、サードパーティーデータ商品が集約される単一のプラットフォームを提供し、サードパーティーデータのコストを低減する。

トレンド9:データとアナリティクスにおけるブロックチェーン

 ブロックチェーン技術は、データとアナリティクスの2つの課題に対処する。まず、ブロックチェーンは、資産と取引の完全な履歴を提供する。さらに、複雑な参加者ネットワークの透明性も提供する。

 台帳データベース管理システム(DBMS)は、ビットコインやスマートコントラクトで使われるだけでなく、単一の企業監査データソースの魅力的な選択肢を提供する。Gartnerは2021年までに、ほとんどの許可されたブロックチェーンが、台帳DBMSに取って代わられると予想している。

トレンド10:関係がデータとアナリティクスの価値基盤を形成

 2023年までに世界の企業の30%で、グラフ技術が意思決定の文脈形成を促進するようになる見通しだ。グラフアナリティクスは、組織、人々、取引など、関心の対象となるエンティティー間の関係の探索を可能にする一連の分析技術だ。データとアナリティクスのリーダーがデータにおける未知の関係を発見したり、従来のアナリティクスでは簡単に分析できないデータを調査したりするのに役立つ。

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