ポストコロナのIT業界とエンジニアの生き残り術を模索する特集「ポストコロナのIT業界サバイバル術」。第2弾は、アフターコロナでSI業界が取るべき方向性を技術カットで解説します。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大はとどまるところを見せず、戦いの長期化が予想されている。
各業界の頑張りもあり、いずれ人類の英知がウイルスに打ち勝つハッピーエンドが来ることを信じてはいるが、ビフォーコロナとまったく同じ世界はもう二度とやってこないだろう。ウィズコロナ、アフターコロナに経済が移るとき、システムインテグレーター(SIer)は社会にどのような価値を提供できるだろうか。
多くのSIerは、コロナ以前にもユーザー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートしてきた。恐らくアフターコロナでも同様となるはずである。しかし、コロナ以前とは大きな違いがある。
それはコロナと社会との関わり方についてだ。ソーシャルディスタンスを維持しながらウイルスとの共存を続けるのか、あるいはワクチンなどで人類の攻勢を強め克服に向かうのか、未来像の見通しが難しい。かつアフターコロナの「アフター」が半年後なのか1年後なのか、あるいはもっと先なのかという見通しも難しい。
そのためユーザー企業が価値創造に取り組みたいと思っても、どのようにビジネスをデザインし創造するのかの見極めがコロナ以前よりも難しいため、具体的な取り組みに着手しにくいだろう。
今の時点では、顧客接点の無人化やオンライン化、大きな社会変革が起こった場合にその流れに追随できるようにシステムの改善を進め、地ならしをしておくこと、などが考えられる。もちろん両方を並行して進めてもよいだろう。
効率化への取り組みとして、コミュニケーションや書類を抜本的にデジタル化し、対内的にも対外的にもリモートワークを推進する、情シス部門自身がシステムの開発、運用をデジタル技術によって効率化していくなども考えられる。
さまざまな部門がリモートワークを実現する中で、情シス部だけがヘルプデスク対応や運用作業への立ち合いのために出社した、という話もSNSで目にした。情シス部門の業務の在り方も見直していく必要があるだろう。
多くのユーザー企業は、コロナ禍の前からDXへの取り組みを本格化していた。アフターコロナを見据えた取り組みは、恐らくその延長線に置かれると考えられる。その方向は大きく分けて2つ。デジタル技術によってアフターコロナの新しい生活様式を実現しようとする「攻めのDX」と、コロナを機に非効率な業務を改める「守りのDX」だ。
これに対してSIerが取るべきアプローチは、現場業務レベルから大きく「刷新していく」、主に情シスを中心として着手できる範囲から「改善していく」の2つが考えられる。
この4つの取り組み分野に対して、SIerは何ができるだろうか。
次ページから、ビフォーコロナの時点でSIerが何にどの程度まで取り組めていたのかを見て、アフターコロナの動きを推察する。データとしたのは、SIerの業界団体「情報サービス産業協会」(JISA)が実施した「情報技術マップ調査」だ。本調査は、JISA会員の技術者1000人超を対象として、JavaやPC端末、IoTセンサーなど約100種類の要素技術に対する利用実績の有無などを尋ね、回答結果から各要素技術が普及途上にあるのか、あるいは衰退期に差し掛かっているのか判定している。
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