Microsoft、「Azure」の新機能を多数発表、コスト削減や価値最大化をサポートリモートワークや事業継続の支援も強化

Microsoftは「Azure」の新機能を複数発表した。これらの機能は、リモートワークや事業継続、コスト削減、クラウドのスケーラビリティとパフォーマンスの活用、ハイブリッド/マルチクラウド環境でのイノベーション展開を支援する。

» 2020年10月06日 15時00分 公開
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 Microsoftは2020年9月23日(米国時間)、「Microsoft Azure」を利用する顧客のコスト削減や効率向上、幅広い環境でのイノベーション活用を支援するAzureの新機能を多数発表した。

リモートワークと事業継続のサポート

 Microsoftは、リモートワークや事業継続を効果的に進める際に役立つ次のような新機能を発表した。

 「Azure Virtual WAN」ハブにおける「Cisco SD-WAN」のネイティブサポート(プレビュー版)
 SD-WAN(ソフトウェア定義型の広域ネットワーク)を利用して、既存の投資やスキルを生かしながら、ネットワークパフォーマンスを改善できる。

 「Azure Load Balancer」のグローバル負荷分散機能(プレビュー版)
 複数リージョンにわたるデプロイにおいてレイテンシを基にトラフィックを分散したり、各リージョンについて冗長性を確保したりして、アプリケーションのアップタイムを向上できる。

 「Windows Virtual Desktop」の新機能(間もなくプレビュー版をリリース予定)
 「Microsoft Endpoint Configuration Manager」を用いた「Windows 10」マルチセッションのサポートにより、物理デバイスと同じ方法で仮想デスクトップを保護、管理できる。「Azure Monitor」の統合により、関連する全てのモニタリングテレメトリーを収集するワークブックを利用したり、高度な可視化機能を用いて、問題を迅速に特定してトラブルシューティングしたりできる。さらに、MSIX形式のアプリケーションのアタッチ機能がAzureポータルに統合される。これによりWindows Virtual Desktopでこのポータルから数クリックでアプリケーションレイヤーを追加できるようになる。

 「Azure Backup Center」(プレビュー版)
 大規模なデータ保護のモニタリングやオペレーション、ガバナンス、最適化が可能になり、全体をAzureポータルで一貫して管理できる。Backup Centerは、バックアップ関連の各種操作を集中してトリガーできるアクションセンターでもある。

 Azure Backupによる「Azure PostgreSQL」のバックアップサポート(プレビュー版)
 Azure PostgreSQLデータベースを長期にわたって保持できる。

 Azure BackupによるSQLと「SAP HANA」バックアップのクロスリージョンリストア機能(プレビュー版)
 バックアップデータをセカンダリーリージョンからいつでもリストアできる。

Azureへの移行によるコスト削減、クラウドのスケーラビリティやパフォーマンスの活用

 Microsoftは、AzureでのWindows ServerとLinuxワークロードの実行を支援する次のような新機能を発表した。

 「Azure Automanage」(プレビュー版)
 AzureにあるWindows Server仮想マシン(VM)のライフサイクル全体にわたってオペレーションを自動化し、日常的な管理作業を大幅に軽減できる。VMの個別/一括管理をポイント&クリックで簡単に実行できる。

 「Windows Admin Center in Azure」(プレビュー版)
 Azure VMにあるWindows ServerをAzureから直接管理できる。

 「Azure ハイブリッド特典」(プレビュー版)
 Azureに移行する「Red Hat Enterprise Linux」や「SUSE Linux Enterprise Server」の顧客向けに優れた柔軟性とユーザーエクスペリエンスを提供する。従量課金インスタンスを移行し、ダウンタイムなしでサブスクリプションを作り上げて事業継続を実現できる。

 「Flatcar Container Linux」(一般提供開始)
 Flatcar Container Linuxは、2020年5月26日にサポートが終了した「CoreOS Container Linux」と互換性がある。FlatcarはイミュータブルLinuxディストリビューションであり、Flatcar Container Linuxは、Azureで実行されるCoreOS Container Linuxコンテナワークロードの移行先として現実的で簡単な選択肢だという。

 「Azure Image Builder」(プレビュー版)
 外部IPアドレスなしでクラウドネイティブイメージの構築とカスタマイズプロセスを効率化でき、脆弱(ぜいじゃく)性からの保護を強化できる。2020年末までに一般提供を開始する見通し。

コンピューティング、ストレージ、スケーラビリティの拡張

 Microsoftは、Azureのコンピューティングとストレージポートフォリオを拡充し、パフォーマンスと柔軟性を向上させるとともに、次のようにスケーラビリティの高いアプリケーションのサポートを強化した。

 「Azure VMware Solution」(一般提供開始)
 既存のオンプレミスVMwareアプリケーションをAzureにシームレスに拡張したり、完全に移行したりできる。アプリケーションのアーキテクチャ変更のコストや労力、リスクがほとんどないという。既存のVMware製品に関するスキルとツールを利用しながら、クラウドのスピードとアジリティーを享受できる。

 「Azure Dedicated Host」と分離されたVMのメンテナンスオペレーションをスケジューリングする機能(プレビュー版)
 プラットフォームの更新をきめ細かく制御できる。VMスケールセット上のゲストOSイメージの更新を自動化し、手動の作業を軽減できる。

 VMの大規模なデプロイを簡素化するAzure Dedicated Hostの2つの機能(プレビュー版)
 Azure VMをDedicated Hostにデプロイする際、デプロイ先となるホストグループの選択をプラットフォーム側で実行できる。VMスケールセットとDedicated Hostを組み合わせて、専用ホストグループ内で複数の専用ホストにわたって、スケールセットの使用を有効にできる。

 自動VMゲストパッチング(プレビュー版)
 セキュリティパッチの適用を自動化し、アプリケーション管理を容易にする。

 AzureポータルにおけるAzureスポットVMの料金履歴と関連エビクション料金(プレビュー版)
 Azureのコストの透明性と予測可能性を高める。

 新しいAzure VM(一般提供開始)
 Intelベースでは、前世代と比べてCPU性能が最大20%高く、価格性能比も優れた第2世代Intel Xeon Platinumプロセッサを搭載するモデルを選択できる。「AMD EPYC」ベースの新しい「Dav4」と「Eav4」シリーズのAzure VMは、最大96仮想CPUを利用でき、スケーラビリティが向上している。18リージョンで提供を開始した。

 AIコンピューティングを実現する「NC T4」と「ND A100」シリーズVM(プレビュー版)
 AIコンピューティングの処理能力やスケーラビリティが高いことが特徴。規模と性能が異なるさまざまな構成があり、プロセッサ技術の恩恵を享受できる。

 ディスクストレージのセキュリティを向上させる、「Azure Private Link」のディスク統合機能(一般提供開始)
 プライベート仮想ネットワークを介した安全なデータインポートとエクスポートを実現する。

 「Azure Ultra Disk」での512Eフォーマットサポート(一般提供開始)
 オンプレミスで動作していたレガシーアプリケーションをAzureに移行し、Ultra Diskのクラス最高のパフォーマンスを活用できる。

 ディスクパフォーマンス層(プレビュー版)
 サイズとは独立してディスクパフォーマンスを柔軟に高めることができ、コストを抑えることが可能。

 Microsoftは、アプリケーションをAzureに移行するツールの中央ハブである「Azure Migrate」もアップデートし、既存サーバ資産の包括的な発見、評価を可能にした。その際、エージェントレスなソフトウェアインベントリや依存関係マッピングといった機能を利用できる。

 さらにアプリケーションのAzureへの移行を支援するプログラムである「Azure Migration Program」と「FastTrack for Azure」の両方で、新たにWindows Virtual Desktopをサポートした。Azure Migration Programでは、ASP.NET Webアプリケーションの移行シナリオもサポートした。

ハイブリッド/マルチクラウド環境でのイノベーション活用

 Azureのサービスと管理をどのインフラでも利用可能にする「Azure Arc」で新機能を一般提供した。これにより、Windows ServerやLinuxサーバ、Kubernetesクラスタを、オンプレミスやマルチクラウド、エッジなどあらゆるインフラで、一貫したアプローチの下に管理できる。

 最新の「Azure Stack」ポートフォリオを利用して、データセンターやリモートオフィス、エッジロケーションをモダナイズできる。

アプリケーションとネットワークの保護

 Microsoftは、市場初のクラウドネイティブSIEM(Security Information and Event Management)だとうたう「Azure Sentinel」において、行動インテリジェンスやサードパーティー脅威インテリジェンスソースを利用できる機能のプレビュー版の提供を開始した。

 「Azure Security Center」の新サービス「Azure Defender」のプレビューも発表した。新サービスは、環境に侵入する脅威からの保護を強化する。

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