Windows 10 May 2020 Update以降で日本語入力システム(Microsoft IME)が大きく変更になり、キー設定に大きく制限が加わった。これまでと同じキー設定が行えなくなってしまい困っている人も多いのではないだろうか。そこで、これまでのMicrosoft IMEと同じようにキー設定を可能にする方法を紹介しよう。
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対象:Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)以降
Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)やOctober 2020 Update(バージョン20H2)の機能アップデートを適用して、Microsoftの日本語入力システム(Microsoft IME)に違和感を持った人もいるのではないだろうか。
これまで機能アップデートを適用しても、それまでに設定したキー設定([Ctrl]キーなどと組み合わせたショートカットキーの設定)などは引き継がれていた。ところが、May 2020 Updateでは、Microsoft IMEが変更されたことに伴い、キー設定がデフォルトのMicrosoft IMEに戻ってしまった上、キー設定のテンプレートが「Microsoft IME」と「ATOK」の2種類からしか選択できなくなってしまった。
IMEのキー設定は、日本語入力の使い勝手を大きく左右するものだけに、この仕様変更で戸惑う人も多いと思う。特に、これまでのMicrosoft IMEでサポートしていた「VJE」や「WX」をキー設定のテンプレートにしていた人や、独自にキー設定を変更していた人にとっては、May 2020 Updateの仕様変更はかなり使いにくいものとなっている。
筆者も、MS-DOSの時代からIMEとして、VJEのキー設定をテンプレートに選択して、[変換]キーを「IMEのオン/オフ」に設定するなどのカスタマイズを行っていた。それだけに、キー設定が全く異なる「Microsoft IME」か「ATOK」のいずれかの選択しかできないのでかなり困ってしまった。
もちろん、新しいMicrosoft IMEのキー設定に慣れるという方法もあるのだが、長年慣れたキー設定から変更するとなると、慣れるまでに時間がかかってしまい、その間の生産性は大幅に落ちることになる。そこで、本Tech TIPSでは、以前のキー設定を使えるようにする方法を紹介する。
実は、May 2020 Update(バージョン2004)やOctober 2020 Update(バージョン20H2)では、古いMicrosoft IMEも実装されており、設定変更により、キー設定が可能な古いMicrosoft IMEに戻すことができる。
ただ、古いMicrosoft IMEに戻すには、[Windowsの設定]アプリのかなり深いところにあるので、[Windowsの設定]アプリの先頭からたどるとかなり面倒だ。設定画面を開くには、インジケーター領域にある[A]または[あ]アイコンを右クリックして、メニューから[設定]を選択する方が手早い。すると、[Windowsの設定]アプリの[Microsoft IME]画面が開く。
ちなみに、[Windowsの設定]アプリの先頭からたどるとなると以下の手順となる。
[Microsoft IME]画面が開いたら、[全般]を選択する。[全般]画面を[互換性]欄までスクロールして、「以前のバージョンのMicrosoft IMEを使う」のスイッチを「オン」にする。これで古いMicrosoft IMEに切り替わる。
古いMicrosoft IMEに戻ったら、これまでのバージョンと同様に、インジケーター領域にある[A]または[あ]アイコンを右クリックして、メニューから[プロパティ]を選択して、[Microsoft IMEの設定]ダイアログを開く。ここで、[詳細設定]ボタンをクリックすると、[Microsoft IMEの詳細設定]ダイアログが開くので、[全般]タブの「編集操作」欄の「キー設定」でキー設定を選択したり、[変更]ボタンをクリックしてキーに機能を割り当てたりすればよい。ちなみに、May 2020 Update(バージョン2004)より前のバージョンで、既にキー設定を変更していた場合、古いMicrosoft IMEに戻すと、その変更していたキー設定に戻っているはずだ。
古いMicrosoft IMEでは、キーに機能やショートカットを割り当てることが可能で、デフォルトの設定をベースに好みに合わせてカスタマイズすることもできる。ただ、カスタマイズした内容はエクスポートしたり、インポートしたりできないため、Windows 10をインストールし直したり、新しいPCを購入したりするたびに、Microsoft IMEのキー設定をやり直さなければならない。
筆者は、「キー設定」に「VJE」を選択してから、[変換]キーを「IMEのオン/オフ」に変更するだけなので、それほど設定に困ることはない。だが、複数の変更を行っている場合は、毎回設定するのはかなり面倒な作業となる。
Microsoft IMEのキー設定は、レジストリに保存されており、レジストリの該当領域をエクスポートして、それを別のWindows 10でインポートすれば、カスタマイズ設定の移行が可能だ。
[注意]
レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリエディターの操作は慎重に行うとともに、あくまでご自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。
レジストリエディターを起動し、以下のキーを選択し、[ファイル]メニューの[エクスポート]を選択し、ファイル名を付けてデスクトップなどに保存する。これをUSBメモリなどにコピーして、別にWindows 10搭載PCに差し、レジストリエディターを起動して、[ファイル]メニューの[インポート]を選択して、USBメモリ上のファイルを読み込めばよい。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\IME\15.0\IMEJP\StyleList\Custom
[Microsoft IMEの詳細設定]ダイアログの「編集操作」欄の「キー設定」で[ユーザー定義]を選択すれば、カスタマイズしたキー設定で日本語の入力が可能になっているはずだ。
October 2020 Update(バージョン20H2)までは、古いMicrosoft IMEに戻して、キー設定を選択したり、カスタマイズしたりできる。ただ、これもいつまでサポートされるか分からない。将来を考えれば、Microsoft IME以外のIMEを使うという選択も検討すべきだろう。
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