京都大学大学院の奥野恭史教授らの研究グループは、健康診断結果に基づいて各個人に最適な健康改善プランを提案するAIを開発した。階層ベイズモデルと機械学習モデルを併用することで、実行しやすい健康改善プランの提案が可能になるという。
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京都大学大学院医学研究科の教授である奥野恭史氏と、同特定講師の小島諒介氏、同博士課程学生の中村和貴氏の研究グループは2021年5月28日、健康診断結果に基づいて各個人に最適で効果的な「健康改善プラン」を提案するAI(人工知能)を開発したと発表した。機械学習と統計モデルの「階層ベイズモデリング」を組み合わせた。
研究グループによると、医療業界では「個別化医療」(個人の特性に合わせて最適な治療法を選択する医療)が注目されているという。
「個別化医療は、個人の健康特性や嗜好(しこう)に基づき、患者が受け入れられる健康改善プランを立てることが重要だ。だが、そういったプランの提案は臨床医の経験に依存していた」(研究グループ)
今回研究グループが開発したAIはこうした課題を解決する。研究チームがこだわったのはAIが提案する健康改善プランの「実行しやすさ」だ。
健康状態が改善するとしても、運動や飲酒制限、食習慣などの全てに介入した改善プランでは実際に実行するのは難しくなる。逆に項目を絞っても効率的な改善が可能だと分かれば、患者は改善プランを実行しやすくなる。
そこで、京都大学の研究グループは、実行しやすさを評価するために階層ベイズモデルを導入した。階層ベイズモデルに実際のデータ分布のパターンを学習させ、通常の機械学習モデルと併用することで、実行しやすい健康改善プランの提案が可能になるという。
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