「顔認証に適用すると最大20倍の高速化が可能」 NECが時系列データを高速分析するAI技術を開発「早押しクイズ」をするときの脳活動がヒントに

NECは、高い精度を維持しながら時系列データを高速にリアルタイム分析するAI技術を開発した。「早押しクイズ」のような、複雑な意思決定を行う際に見られる脳活動の知見を応用した。顔認証に適用すると、最大20倍の高速化が可能だという。

» 2021年05月10日 08時00分 公開
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 NECは2021年5月6日、高い精度を維持しながら時系列データを高速にリアルタイム分析するAI(人工知能)技術を開発したと発表した。顔認証に適用すると、既存の手法と同等の精度を維持しながら最大20倍の高速化が可能だという。

画像 顔認証入退場ゲートにおける適用イメージ(出典:NEC

「早押しクイズ」を連想するアルゴリズム

 顔認証で用いられるAIの多くは、あらかじめ設定した量のデータを全て取得して分析するため、時間がかかっていた。今回NECが開発したAIはデータを取得しながら分析し、所望の信頼度が得られたタイミングでデータ収集を打ち切るため、認証や検知の処理を高速化できる。

 この手法は「逐次確率比検定」(Sequential Probability Ratio Test:SPRT)と呼ばれ、製造分野の品質管理で利用されていたが、必要となるデータの前提条件が厳しく、幅広い領域に適用することが困難だった。そこでNECは「複雑な意思決定をする際の脳活動」を応用したアルゴリズム「SPRT-based algorithm that Treat As Nth-Order Markov Series」(SPRT-TANDEM)を開発した。

画像 簡単な問題は素早く、難しい問題はじっくりと考えて答えを出す(出典:NEC

 このアルゴリズムは、問題文から得られる情報を分析しながら正解を考え、確証ができた時点で解答する「早押しクイズ」に似ている。NECは「意思決定時に大脳頭頂葉の神経細胞がSPRT手法に近い計算をしていることをヒントに、統計的判断の尺度(もっともらしさ)を高速に推定する新たな損失関数と、損失関数を特定するディープニューラルネットワーク構造を、脳神経科学などの学際的知見に基づいて設計した」という。

 NECは、開発したAI技術を顔認証AIエンジン「NeoFace」に応用することを目指しており、その他にもサイバー攻撃の検知や分析、時系列データを活用する領域全般への適用も検討するとしている。

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