ガートナーが日本企業を対象に実施したクラウドコンピューティングに関する調査によると、日本企業のクラウドコンピューティング利用率が増加していることが分かった。ガートナー ジャパンは、クラウド戦略の策定と推進を加速させる必要があるとしている。
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ガートナー ジャパンは2021年6月14日、日本企業を対象としたクラウドコンピューティングに関する2021年の調査結果を発表した。それによると、日本企業のクラウドコンピューティングの利用率は22%となっており、ガートナー ジャパンは「日本はクラウドコンピューティングの利用が次のステージに進んでいる」と分析する。
利用率をSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)といったクラウドサービス別に見ると、SaaSは39%、PaaSは24%、IaaSは22%、「ホステッドクラウド」(ホスト型プライベートクラウド)は20%だった。特にSaaSは、2020年調査から8ポイント増えており、伸びが著しい。
今後の投資意欲については、「これから1〜2年かけて外部クラウドの利用を増やす」と回答した割合が55%で、これは同調査の過去最高だった。ただし、クラウドだけでなくオンプレミスへの投資意欲も拡大している。
ガートナー ジャパンのアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントを務める亦賀忠明氏は、次のように述べている。
「過去の調査では、外部クラウドへの投資意向と実際のクラウドの利用状況は必ずしも相関していなかった。それが今回、ようやく投資意向と実際の利用状況が同じ傾向を示した。こうした変化はこの10年で見ても大きなもので、クラウド利用が次のステージへと進んだと捉えるべきだ。インフラと運用に関わる管理者やリーダーはクラウド戦略の策定と推進を加速させる必要がある」
企業が現場でクラウドのスキルを高めようとする動きも年々強まっている。
今回の調査で「クラウドのスキルを重要と認識しており、積極投資している」と回答した割合は、2020年調査から9ポイント増え、34%に上昇した。ただし、クラウドに対する上司の理解度については「理解しておらず困っている」との回答が4割近くを占め、「理解しているとはいえない」と合わせると7割に及んだ。管理層の理解度の問題が生じている実態が浮き彫りになった。
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