ガートナー ジャパンは、DXの推進に必要となる5つの役割を発表した。自社の目的に合った人材を育てることをゴールに据えると、効果的な人材育成を短期間で実行できるようになるという。
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ガートナー ジャパンは2021年8月18日、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に必要となる5つの役割を発表した。ガートナー ジャパンは「企業はDX成功の鍵を握る人材の役割を理解し、自社に必要な人材の確保に取り組むべきだ」としている。
ガートナー ジャパンの足立祐子氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント、ガートナーフェロー)は次のように語る。
「日本企業は、経営トップの掛け声とともにDXを推し進める傾向がある。見切り発車になりがちで、『どのような人材が必要かが分かっていない。分からないから、育成もうまくいかない』という悪循環に陥っている」
ガートナー ジャパンは、CIO(最高情報責任者)やITリーダーがDXを推進する際に必要な役割を明確にすべきだと指摘する。同社が提言する役割は以下の5つ。
DXによるビジネスゴールを定義し、新たなビジネスモデルを考えたり、DXに関する企画を考えたりする役割。
ビジネスゴールの達成に向けて、最適なデジタル技術を特定し、技術を適用したときのシステム面への影響を分析したり予測したりする役割。
現場で実際に技術を活用する役割。ガートナー ジャパンは「自動化やデータサイエンス、AI(人工知能)などに注目しがちだが、確実にDXを推進していくためには、通信ネットワークやIT基盤、セキュリティといった領域の役割も重要だ」と指摘する。
ソリューションやサービス、アプリケーションのユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインを担う役割。
デジタル技術の導入に伴う働き方改革や変革のコミュニケーション計画の作成、意識と行動変容に向けた施策の計画などを立てる役割。
ガートナー ジャパンはこの5つの役割に加えて、DX人材に求められるスキルとして「意識」(マインドセット)、「デジタルイノベーション」「IT」「ビジネス」の4つの分野を挙げる。これらの分野は、上に挙げたDXの5つの役割全てに共通するが、重みやバランスは役割と企業のデジタル戦略によって異なるという。
足立氏は次のように指摘する。
「企業は全ての要素に秀でている人材を求めるが、これは過ちだ。企業は自社のDX戦略に合わせてどのような能力がどの程度必要か、自社にとって特に重視すべき能力は何かを見極める必要がある。自社の目的に合った人材を育てることをゴールに据えると、候補者を選定しやすく、効果的な人材育成を短期間で実行できるようになる」
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