IDC Japanは「データ利活用統括者調査」と「IoT担当者調査」の結果を発表した。データ利活用に関する課題は「取り組みの成熟レベル」によって多様化していることが分かった。
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IDC Japanは2021年11月25日「データ利活用統括者調査」と「IoT担当者調査」(IoT:Internet of Things)の結果を発表した。
調査対象は全国の従業員100人以上の企業に所属する従業員で、約1万7千人から回答を得た。
データ利活用統括者調査は「データ利活用統括者」を対象に実施した。ここでいうデータ利活用統括者は次の条件を満たす従業員のことだ。
調査結果を基に、データ利活用の成熟レベルで企業を「全社的なDX実現に向けてデータの利活用を実践している企業」「部分的なDX実現に向けてデータを利活用している企業」「データを現状把握や予測などに利用するのにとどまっている企業」に分類したところ、それぞれの成熟度レベルで課題が異なることが分かった。
全社的なDX実現に向けてデータの利活用を実践している企業は「活用データの仕様/形式が不統一」「取り組みの負担が一部の従業員に集中」「KPI(Key Performance Indicator)が未確立」といった課題が目立った。
部分的なDX実現に向けてデータを利活用している企業では「組織の分断/サイロ化」や「データサイエンス/エンジニアリングスキル不足」などが課題として挙がった。
データを現状把握や予測などに利用するのにとどまっている企業では、「システムの過度な複雑化」や「データ活用プロセス間の無駄が多大」が顕著で、経営層の「ビジョン/意識の欠如」との回答も多かった。
IoT担当者調査は、業務の1割以上をIoTに割り当てている「IoT担当者」を対象に実施した。
IoTへの取り組みを、顧客サービス価値の向上や新ビジネス創出を目的とした「DX用途」と、社内業務の効率化やコスト削減を目的とした「社内用途」に分けると、前者では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって取り組みが「拡大した」または「一時的に中止した」と回答した割合が後者よりも高かった。
ローカル5Gの活用状況や活用意向について聞くと、ローカル5Gを活用している企業の割合は約15%だった。これに対して「採用が未定」と回答した割合は約45%(「興味はなく、採用も未定」「興味はあるが、採用は未定」の合算)。その理由で最も多かったのは「導入価値/ROI(Return on Investment:投資利益率)が不明確」だった。
IDC Japanの鳥巣悠太氏(コミュニケーションズ シニアマーケットアナリスト)は、「DX推進企業のデータ利活用に関する課題は、取り組みの成熟レベルによって多様化している。ITベンダーは企業のレベルに合わせたデータ利活用ソリューションの最適化、人材の登用、待遇の改善や組織変革に向けたコンサルティング、CxO(Chief x Officer)のマインドセット転換に向けたアドバイザリーなどを推進すべきだ」と述べている。
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