Dellがマルチクラウドデータサービス、「クラウドベンダーロックインから解放」Webコンソールでビジュアルに設定

Dell Technologiesが、主要クラウドに対応したデータサービス、「APEX Multi-Cloud Data Services」を発表した。クラウド間のデータ転送を回避し、クラウドベンダーロックインから解放するとしている。

» 2022年01月20日 17時04分 公開
[三木泉@IT]

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 Dell Technologiesは2021年1月19日、2つのストレージサービスを発表した。発表したのはマルチクラウド対応のデータ管理サービス「APEX Multi-Cloud Data Services」と、SaaSや端末などのデータを統合的にバックアップするサービス「APEX Backup Services」。これとは別に、Dellは既存ストレージのソフトウェアを主要クラウドで動かせるサービスの構想を明らかにした。

主要パブリッククラウドの隣にデータレイクを構築できる

 APEX Multi-Cloud Data Servicesは、主要パブリッククラウドと容易に連携できるデータサービス。パブリッククラウドの外にありながら直接接続しており、高速にアクセスできるという。

 「新サービスで、(データに関する)クラウドベンダーロックインから解放される。データの処理・分析で、その都度最適なクラウドを選択したり、併用したりできる。あるクラウドから別のクラウドにデータを複製する必要がなくなり、コストを減らすことができる」と、Dell Technologiesアジア太平洋日本地域プレジデント、アミット・ミッダ(Amit Midha)氏は話した。

 新サービスはDellのストレージ技術を活用し、Equinixのデータセンターで運営される。Equinixは複数ハイパースケーラーと高速接続できるクラウドエクスチェンジサービスを提供すると共に、接続点でデータセンターを運営している。 新サービスではこれを生かし、さらにクラウド内へ高速なレイヤー2接続ができる技術を適用しているという。新サービスのデータへは、複数のクラウドからの同時アクセスも可能とする。

 APEX Multi-Cloud Data ServicesはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Oracle Cloudに対応する。これらのクラウドから新サービスへのデータアクセスは、Dellのクラウドポータル「APEX Console」でビジュアルに設定できる。APEX Consoleでは、他にもデータガバナンスの管理などができる。

 では、ミッダ氏が主張する「ベンダーロックインからの解放」「コストの低減」とはどういう意味か。

 まず、ベンダーロックインからの解放については、いったんいずれかのクラウドにデータレイクを構築してしまうと、以後は変更しにくく、他のクラウドの分析サービスや処理性能がいくら魅力的でも活用しにくくなると同氏は指摘する。活用したいなら、その都度データを転送しなければならない。

 コストの低減はこれに関係する。一般にハイパースケーラーは、内向きへのデータ転送は無料だが、外向きに転送する場合に料金を課す。大量のデータをいクラウドからクラウドへ転送すれば、この料金が多大なものになる。一方、データレイクをクラウドの外に構築しておけば、データ分析ではクラウドへの内向き転送となるため、転送料金はかからない。

 つまり、コスト低減に関しては、クラウドでいったん受けたデータを新サービスに集約するのではなく、オンプレミスやエッジからのデータを新サービスで直接受けるような使い方を主に想定している。ただしAzure、Oracle Cloudから新サービスへのデータ転送は無料だという。この2つのクラウドについては、クラウドで生まれるデータもコスト効率よく管理できることになる。新サービス自体の料金体系は未公表。

 新サービスは基本的にオブジェクトストレージのサービス。ブロック、ファイル、オブジェクトのデータ、およびデータ保護に対応する。ストレージとしての構成は完全にブラックボックス化されているが、データを保管する地域は指定できる。これにより、国外にデータを出したくないというニーズに対応できるという。

 APEX Multi-Cloud Data Servicesは2022年第1四半期中に、米国、英国、ドイツ、オーストラリアで 提供開始の予定。

新たなクラウドバックアップサービスは全世界で提供開始

 Dellが発表したもう1つの新サービスは「APEX Backup Services」。こちらはOffice 365、Google Workspace、SalesforceなどのSaaS、端末、オンプレミスやパブリッククラウドのデータをバックアップするサービス。これらの多様なデータを集中管理し、必要に応じて短時間でリカバリできるという。同サービスは全世界で提供が開始された。

 Dellはまた、自社がハードウェア一体型で提供してきたストレージ製品を、ソフトウェアとして主要クラウド上で提供する計画、「Project Alpine」を明らかにした。クラウド上のマーケットプレースで、サブスクリプション型で購入できるものになる。これにより、オンプレミスとパブリッククラウドで、一貫したデータ管理ができるという。

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