「IT市場に直接的な影響はない、だが……」 ウクライナ侵攻が世界のIT市場に与える影響をIDCがレポート世界経済への影響が懸念される

IDCはロシアによるウクライナへの侵攻が世界のIT市場に与える影響についてのレポートを発表した。貿易やサプライチェーン、資本フロー、エネルギー価格に与える影響は世界経済に波及する恐れがあるという。

» 2022年03月15日 08時00分 公開
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 IDC Japanは2022年3月11日、ロシアによるウクライナへの侵攻が世界の情報通信技術(ICT)市場に与える影響についてのレポートを発表した。IDCは「IT市場における『ロシアとウクライナの支出額』が占める割合は多くはないが、貿易やサプライチェーン、資本フロー、エネルギー価格に与える影響は無視できない」としている。

画像 IDC JapanのWebページから引用

 ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う外交的、経済的対応は「世界にとって重大な転換点につながっている」とIDCは指摘する。IT市場については米国やEU(欧州連合)などがロシアに課した経済制裁や措置の影響も受ける。

破壊的な市場の動きに対応する準備を進めるべきだ

 IDCのAndrea Siviero氏(IDC European Customer Insights & Analysis アソシエイトリサーチディレクター)は「地政学的シナリオが、今後数カ月から数年の間に世界のIT需要に影響を与えることは間違いない」と述べている。IDCが実施した調査「IDC Global CIO Quick Pulse Survey」によると、2022年の技術支出計画を見直した割合は半数を超え、回答者の10%はICT投資計画の大幅な変更を予定していた。

 ロシアとウクライナのIT支出額は世界全体の1%にすぎないため、「両国のIT支出額減少が世界経済に与える影響は限定される」とIDCはみている。しかし、「技術需要の変動」「エネルギー価格上昇によるインフレ圧力」「ウクライナに設置した子会社とロシアでの事業展開の再評価」「サプライチェーンの混乱」「為替レートの変動」などによって世界経済に大きな影響を与える恐れがあるという。

 IDCのPhilip Carter氏(IDC Worldwide Thought Leadership Research グループバイスプレジデント)は、「紛争の流動的な性質を考えると、企業はさまざまな破壊的な市場の動きを予測し、それに対応できる行動計画の作成を進めるべきだ」と述べている。

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