「デジタル化の意味を『IT化』と混同している」 ガートナーが日本のデジタル化に関する展望を発表IT部門は事業部門や経営層に働きかける必要がある

ガートナージャパンは日本のデジタル化に関する展望を発表した。同社は「日本でのデジタル化はその大半が従来の『IT化』や『情報化』と変わらない」と分析している。

» 2022年03月16日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 ガートナージャパンは2022年3月14日、日本のデジタル化に関する展望を発表した。それによると「日本でのデジタル化はその大半が従来の『IT化』や『情報化』と変わらない」という。同社はその理由を「デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がちまたにあふれ、技術に直接関わらないビジネス層もデジタル化に取り組むようになったため」と説明している。

 ガートナージャパンの鈴木雅喜氏(アナリスト バイスプレジデント)は次のように述べている。

 「企業の経営層がデジタル化を戦略として位置付けても、実際には取り組みやすい従来のIT化や情報化にとどまり、本質的なビジネス変革を目指す動きが停滞する恐れがある。技術に関わるリーダーはこうした混乱が生じていることを理解し、デジタル化の取り組みの意味についてビジネス部門(事業部門)や経営層に正しく説明しながら、技術を活用した自社のビジネス変革を推進する必要がある」

鍵を握るのはIT部門と事業部門の協業

 こうした取り組みを阻害しているのがIT部門と事業部門の「溝」だ。ガートナージャパンの調査によると、2020年までは「IT部門とビジネス部門間の信頼関係は薄い/ない」と回答した割合が「IT部門とビジネス部門は密に協業できる」と回答した割合を上回っていた。

画像 企業のIT部門と事業部門の協業体制(提供:ガートナージャパン

 だが2021年の調査では、信頼関係が「良好」と回答した企業が約35%を占め、「良好でない」と回答した企業を初めて上回った。「IT部門と事業部門の協業体制は明らかに改善されつつある」とガートナージャパンは分析している。

 鈴木氏は「IT部門と事業部門の連携や協業は、IT部門がビジネス上の成果を獲得する上で越えなければならないハードルだ。今後も部門間連携の改善トレンドが継続すれば、2026年までに、半数を超える日本の大企業のIT部門は、ビジネス部門と良好な連携を実現する」と推測している。

 一方で「ビジネス革新に向けた技術の選択や導入などの『デジタル企画力の向上』を目指さないIT部門は、2025年まで自社の変革に向けた活動に参画できない」とも予測している。

 「デジタル化への追い風が強く吹いている今、組織の規模や業種、従来のビジネスモデルなどに関係なく全ての企業のIT部門は未来に向けた一歩を踏み出し、取り組みを加速していくべきだ」(鈴木氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。