IT業界で働いているなら最低限押さえておきたい2022年施行予定の法律を紹介する。
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本記事では、IT業界で働いているなら最低限押さえておきたい2022年に施行予定の法律(施行済みのものも含む)をまとめた。それぞれに所轄官公庁、行政委員会の情報提供ページと法令へのリンクを記載しているので、詳しく知りたい方は確認してほしい。
電子帳簿保存法とは、従来紙で保存しなければならなかった帳簿書類を電子データで保存できるように認め、その手続きを定めた法律だ。
2022年1月1日施行の法改正により、電子的に作成した帳簿書類をデータ保存する場合、税務署長の事前承認は不要となった。保存義務のある帳簿の電子化を推進する内容となっている。一方で、電子データを紙に印刷して保管する際の要件は厳しくなっているため、注意が必要だ。
令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて 国税庁
2021年6月に公布された著作権法の改正では、「図書館関係の権利制限規定の見直し」「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」の2点が盛り込まれた。
「図書館関係の権利制限規定の見直し」では、国立国会図書館の資料を利用者に対しインターネットを利用し送信できるようにできる制度(2022年5月開始予定)や、図書館が著作物の一部を利用者にメールなどで送信できるようになる制度(2021年6月3日から2年を超えない範囲で著作権法施行令で定める日までに施行)が創設される。図書館が著作物を送信する際、図書館の設置者が著作物の権利者に補償金の支払いを義務付けることも盛り込まれている。
「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」は、放送番組をインターネットで同時配信したり追っかけ配信したりする際に必要な権利手続きの要件を緩和することで、放送番組をインターネットで配信するために生じていた負担を軽減するもの。2022年1月1日に施行された。地上波テレビなどの放送番組をインターネットで同時配信するために、従来は放送番組にのみ許可されていた権利処理手法の範囲を拡大する。
2020年6月に公布された改正案のうち、先行して「第23条第2項により個人データを第三者に提供しようとする際の経過措置(2021年10月施行)」「法定刑の引上げ(2020年12月)」が施行されていたが、これ以外の改正事項全てが2022年4月1日に施行される。主な改正点は以下の通り。
個人情報の利用停止、消去などを個人が請求する場合、不正取得などの違反行為が認められるケースでしか請求ができなかった。改正法ではこれに加えて個人の権利または正当な利益が害される場合でも利用停止、消去などを請求できるようになる。また、6カ月以内に消去する短期保存データが保有個人データに含められ、開示、利用停止などの対象になる。
個人情報の漏えいが発生し、個人の権利利益を害するおそれがある(一定の類型に該当する場合に限定)場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知を義務化する。改正前は努力義務だった。
仮名加工情報は「他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報」と定義されている。2015年改正で創設した「匿名加工情報」は個人情報を復元できないことが要件にあるが、仮名加工情報にはこの要件はなく、データ利活用の規制が実質緩和されるといえる。
改正により、外国事業者も適用範囲に該当し、改正法全ての規制対象となる。また、外国にある第三者への個人データを提供する際は、移転先事業者での個人情報の取り扱われ方などを本人へ情報提供することを求めている。
令和3年 改正個人情報保護法について(官民を通じた個人情報保護制度の見直し) 個人情報保護委員会
2022年4月1日施行の改正により、特許などの申請時に必要な、口頭審問や登録査定通知の電子化など、一部手続きのデジタル化が進むこととなった。また、「審査負担増大や手続のデジタル化に対応し収支バランスの確保を図る」ことを理由に特許料などの一部が値上げされる(令和3年特許法等改正に伴う料金改定のお知らせ 特許庁)。
特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号) 特許庁
2022年4月1日施行の改正では警察庁の組織改正や重大サイバー事案(※)に対処するための事務分掌が明文化された。サイバーセキュリティに関して捜査指導、解析、情報集約、分析、対策などを一元的に対応する「サイバー警察局」を新設するなどして、重大サイバー事案の対応能力を図るとしている。
(※)「国・地方公共団体の機関や重要インフラ等に重大な支障が生じる事案」「対処に高度な技術を要する事案(マルウェアなど)」「海外からのサイバー攻撃集団による攻撃」の3つを重大サイバー事案に位置付けている。
プロバイダ責任制限法は、SNSや掲示板サービスへの書き込みなどによって発生した権利侵害があった場合のプロバイダーに対する発信者情報の開示請求についてを定めた法律だ。
2022年10月ごろまでに施行される予定の法改正では、情報開示手続き制度の簡略化や開示請求を行える範囲の見直しが行われる。これによって被害者側の救済をより円滑に実施できるようになる。
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