Geoレプリケーションのデータ複製状況に関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(109)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Geoレプリケーションのデータ複製状況に関する情報の出力について解説します。

» 2022年05月10日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_continuous_copy_status」における、Geoレプリケーションのデータ複製状況に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、Azure SQL Database Azure SQL Managed Instanceです。

概要

 Azure SQL Databaseでは、Geoレプリケーションの機能を使用できます。Geoレプリケーションを構成すると、同じリージョンまたは異なるリージョンに、データベースの読み取り可能な複製(セカンダリデータベース)を作成できます。

 「sys.dm_continuous_copy_status」では、Azure SQL Databaseに構成されたGeoレプリケーションのデータ複製状況に関する情報を出力します。ただし、「sys.dm_continuous_copy_status」はSQL Database V11用の動的管理ビューのため、V12以降では「sys.dm_geo_replication_link_status」を使用します。

出力内容

列名 データ型 説明
copy_guid uniqueidentifier レプリカデータベースの一意のID
partner_server sysname SQL Databaseのサーバ名
partner_database sysname SQL Databaseのデータベース名
last_replication datetimeoffset 最後に適用されたレプリケートされたトランザクションのタイムスタンプ
replication_lag_sec int 現在の時刻と、プライマリデータベースで最後に正常にコミットされたトランザクションのタイムスタンプとの間における秒単位の時間差
replication_state tinyint このデータベースにおける連続コピーレプリケーションの状態。次のいずれかになる
 「1」=シード処理
 「2」=追い付く
 「3」=再シード処理
 「4」=中断
replication_state_desc nvarchar(256) このデータベースにおける連続コピーレプリケーションの状態の説明。次のいずれかになる
 SEEDING
 CATCH_UP
 RE_SEEDING
 SUSPENDED
is_rpo_limit_reached bit 常に「0」
is_interlink_connected bit インターリンクの状態
 「0」=インターリンクは切断されている
 「1」=インターリンクは接続されている
is_target_role bit 役割
 「0」=コピーリレーションシップのソース
 「1」=コピーリレーションシップのターゲット
last_commit datetimeoffset 最後に適用されたタイムスタンプ

動作例

 「sys.dm_continuous_copy_status」はSQL Database V11用の動的管理ビューですが、V12でも実行することは可能なため、SQL Database V12でGeoレプリケーションを構成します(図1)。

図1 図1 Geoレプリケーションで複数のセカンダリーを構成した

 プライマリサーバに接続し、「sys.dm_continuous_copy_status」を実行すると、Geoレプリケーションのデータ複製状況に関する情報が出力されました(図2)。

図2 図2 プライマリサーバで実行すると「is_target_role」列が「0」のセカンダリサーバの一覧と状態が出力された

 プライマリサーバで実行すると「is_target_role」列が「0」のセカンダリサーバの一覧が出力され、「replication_state」列と「replication_state_desc」列で複製状況を確認できます。

 「partner_server」列が「repl02-sql-srv」の「replication_state_desc」列が「SEEDING」になっているため、現在はシード中であり、トランザクションが一貫性のない状態になっていることが確認できます。

 残りのセカンダリサーバは「replication_state_desc」列が「CATCH_UP」となっているため、トランザクションが一貫性のある状態になっていることが確認できます。

 セカンダリサーバに接続し「sys.dm_continuous_copy_status」を実行すると、「is_target_role」列が「1」のプライマリサーバしか出力されず、他のセカンダリサーバの確認はできませんでした(図3)。

図3 図3 セカンダリサーバで実行すると「is_target_role」列が「1」のプライマリサーバのみ出力された

※本Tipsは、Azure SQL Database(Single Database)での実行を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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