「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Geoレプリケーションリンクのステータス情報を出力する方法について解説します。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_geo_replication_link_status」における、Geoレプリケーションリンクのステータス情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、「Azure SQL Database」です。
Azure SQL DatabaseではGeoレプリケーションの機能を使用できます。Geoレプリケーションを構成すると、同じリージョンまたは異なるリージョンに、データベースの読み取り可能な複製(セカンダリデータベース)を作成できます。
「sys.dm_geo_replication_link_status」動的管理ビューを使用することで、SQL Databaseに構成されたGeoレプリケーションのデータ複製に関する情報を出力できます。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
link_guid | uniqueidentifier | レプリケーションリンクの一意のID |
partner_server | sysname | Geoレプリケート先のSQL Databaseサーバ名 |
partner_database | sysname | Geoレプリケート先のSQL Database名 |
last_replication | datetimeoffset | プライマリデータベースクロックに基づく、セカンダリーによる最後のトランザクションの受信確認のタイムスタンプ プライマリデータベースでのみ使用できる |
replication_lag_sec | int | プライマリデータベースのクロックに基づく、last_replicationの値とプライマリのトランザクションのコミットのタイムスタンプの間の時間差(秒単位) プライマリデータベースでのみ使用できる |
replication_state | tinyint | このデータベースのGeoレプリケーションの状態 「1」=シード処理 Geoレプリケーションターゲットはシードされているが、2つのデータベースがまだ同期されていない。シード処理が完了するまで、セカンダリデータベースに接続することはできない。プライマリからセカンダリデータベースを削除すると、シード処理操作が取り消される 「2」=キャッチアップ セカンダリデータベースはトランザクション一貫性のある状態であり、常にプライマリデータベースと同期されている 「4」=中断されている アクティブな連続コピーリレーションシップではない。通常、この状態は、インターリンクに利用できる帯域幅がプライマリデータベース上のトランザクションアクティビティーのレベルに対して不十分であることを示す。ただし、連続コピーリレーションシップはそのまま残る |
replication_state_desc | nvarchar(256) | replication_stateの説明 PENDING SEEDING CATCH_UP |
role | tinyint | Geoレプリケーションロール 「0」=プライマリ 「1」=セカンダリー |
role_desc | nvarchar(256) | roleの説明 PRIMARY SECONDARY |
secondary_allow_connections | tinyint | セカンダリーの種類 「0」=セカンダリデータベースへの直接接続は許可されず、データベースを読み取りアクセスに使用することはできない 「2」=セカンダリデータベースへのすべての接続が許可される |
secondary_allow_connections_desc | nvarchar(256) | secondary_allow_connectionsの説明 NO ALL |
last_commit | datetimeoffset | 最後のトランザクションがデータベースにコミットされた時刻 プライマリデータベースで取得された場合は、プライマリデータベースの最後のコミット時刻を示す セカンダリデータベースで取得された場合は、セカンダリデータベースの最後のコミット時刻を示す レプリケーションリンクのプライマリがダウンしたときにセカンダリデータベースで取得された場合は、セカンダリがどの時点でキャッチされたかを示す |
Azure SQL Databaseを作成し、Geoレプリケーションを構築します(図1、図2)。
SQL Server Management Studio(SSMS)で作成したデータベースに接続し、「sys.dm_geo_replication_link_status」動的管理ビューを出力します(図3)。
対象のデータベースに構成されたGeoレプリケーションについて、パートナーサーバ名などの構成情報と、レプリケーションのロールやタイムスタンプ、タイムラグなどの同期に関するステータス情報が出力されました。
次に、セカンダリデータベースに接続し「sys.geo_replication_links」動的管理ビューを出力します(図4)。
セカンダリデータベースで出力すると、「last_replication」列や「replication_lag_sec」などの一部の列の値が出力されないようです。
なお、「sys.geo_replication_links」動的管理ビューは接続先のデータベースに構成されているGeoレプリケーションに関する情報を出力するようで、masterデータベースで出力すると結果が出力されないようです(図5)。
masterデータベースに接続する必要がある「sys.geo_replication_links」とは、接続先データベースが異なりますので注意が必要です。
※本Tipsは、Azure SQL Database(Single Database)での実行を想定して解説しています。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.