Red Hatは車載用Linuxを開発中、GMは2023年から投入のプラットフォームで採用Automotive Grade Linuxとの関係を聞いた

Red Hatは車載用Linuxを開発中だ。米自動車メーカーGeneral Motorsは、これを車種横断の車載プラットフォームUltifiのベースとして採用する。

» 2022年05月12日 08時00分 公開
[三木泉@IT]

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 Red HatとGeneral Motors(GM)は2022年5月10日(米国時間)、Red Hatが開発中の車載Linuxディストリビューション「Red Hat In-Vehicle Operating System(以下、IVOS)」を、GMが採用すると発表した。IVOSは、GMが2023年より順次投入する車載プラットフォームUltifiのベースとなる。

 IVOSは、車載インフォテインメント(IVI)システムから車体制御、先進運転支援システム(ADAS)まで、あらゆる用途を支える基盤となる。また、車種横断で展開される。

 ADASなどの安全性が最優先の用途で使われる車載システムは、高レベルのサイバーセキュリティと厳格な認証が求められる。そのためソフトウェア開発は長期化し、ソフトウェアアップデートは都度の再認証が必要なため困難。GMとRed Hatは、Ultifiに継続的な機能安全認証の仕組みを導入することで、アップデートのプロセスを簡素化し、頻度を上げることが可能としている。

 「IVOSは、安全性が不可欠な車載システムにLinuxを適用することで、『ソフトウェア定義の自動車』を支えることができる。開発を加速し、コストを下げ、新たなサービスと収益源の機会を広げられる」とRed Hatは言う。

Automotive Grade Linuxとの関係は?

 Red Hatは、IVOSをGM以外の自動車メーカーにも広げようとしている。

 LinuxをOSとすることで、独自アーキテクチャの車載プラットフォームでは不可能な開発者の広がりが期待できる。複数の自動車メーカーが共通の基盤を採用できれば、さらに車載ソフトウェア市場が広がる。自動車とはこれまで関係のなかったソフトウェアベンダーの参入が考えられ、ソフトウェアの再利用も促進される。自動車メーカーは自社の製品の価値を高めるソフトウェア機能の開発に専念できるという。

 だが、Linux Foundation傘下のAutomotive Grade Linux(AGL)プロジェクトも、車載Linuxの開発を進めている。そこで「AGLがあるのに、なぜRed Hatは(これとは関係なく)車載用ディストリビューションを開発するのか」と聞いてみた。

 Red Hatのマット・ヒックス氏(製品・技術担当上席副社長)は次のように答えた。

 「プロジェクトとプロダクトの違いがある。一般に、オープンソースプロジェクトはさまざまな革新を実現するが、そのままコンパイルして理解し、メンテナンスし続けられるユーザーは多くない。AGLはエキサイティングなプロジェクトだが、同様な理由で自動車メーカーのニーズを完全に満たしているとは言えない。IVOSでは、セキュリティアップデートを自動車の寿命がある限り提供するなど、自動車メーカーが信頼し続けられるものを提供していく」

 なお、Red Hatは2022年4月、AGLに最下位のブロンズ資格で加入した。

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