半導体およびインフラソフトウェア大手のBroadcomが、仮想化大手のVMwareを約610億ドルで買収すると発表した。買収完了後、Broadcomのソフトウェア部門がVMwareとして再ブランド化される。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
半導体およびインフラソフトウェアソリューション大手のBroadcomは2022年5月26日(米国時間)、仮想化大手のVMwareを約610億ドルで買収することで合意したと発表した。買収は現金と株式の取引によって行われ、BroadcomはVMwareが抱える80億ドルの負債も引き受ける。
買収取引は規制当局などの承認を経て、Broadcomの2023年度(2022年11月〜2023年10月)に完了する見通しだ。買収完了後、Broadcomのソフトウェア部門であるBroadcom Software GroupがVMwareとして再ブランド化され、Broadcomの既存のインフラおよびセキュリティソフトウェアソリューションがVMwareの事業ポートフォリオの一部として組み込まれる。
VMwareは、x86サーバベースのコンピューティングを変革する仮想化技術の草分けであり、Software-Defined Data Center(SDDC:ソフトウェア定義データセンター)戦略を推進し、ネットワーキングとストレージの仮想化でも主導的な役割を果たしてきた。マルチクラウドおよびハイブリッドクラウドとデジタルワークスペース分野に注力している。
VMwareのマルチクラウドポートフォリオは現在、アプリケーションモダナイゼーション、クラウド管理、クラウドインフラ、ネットワーキング、セキュリティ、場所を問わないワークスペースに及んでおり、柔軟で一貫したデジタル基盤を形成している。この基盤をベースに、幅広い業種の大規模でダイナミックな企業が顧客の利益のために重要かつ複雑なワークロードを構築、実行、管理、接続、保護している。
Broadcomは、「新組織は、VMwareの先進的なプラットフォームとBroadcom Softwareの補完的なポートフォリオを組み合わせることで、イノベーションを加速し、最も複雑な情報技術インフラのニーズに対応する、重要なインフラソリューションの拡張プラットフォームを企業顧客に提供できる」と述べている。
Broadcomの社長兼CEOを務めるホック・タン氏は、買収による事業展開の抱負を次のように述べている。「M&Aを成功させてきた当社の実績を土台に、われわれは今回の買収により、当社の主要な半導体およびインフラソフトウェア事業と、エンタープライズソフトウェアのパイオニアかつイノベーターとして知られる企業を組み合わせることで、業界をリードするインフラ技術企業として、顧客に提供できるものを再定義できる。VMwareの優れたチームがBroadcomに加わることで、われわれはイノベーションの文化を共有し、さらに磨きをかけ、両社の株主を含むステークホルダーの価値をさらに高めることができると期待している」
Broadcomは一連の買収を通じて事業を拡大してきた歴史を持ち、2018年にエンタープライズソフトウェア大手のCA Technologiesを、2019年にSymantecの企業向けセキュリティ事業を買収し、ソフトウェア分野を強化していた。
VMwareは2004年にEMCに買収され、Dellが2015年にEMCを買収したことで、Dell Technologiesの傘下に入った(DellのEMC買収額は、当時としてはIT業界史上最高の670億ドルだった)。2021年11月に、Dell Technologiesからのスピンオフ(分離、独立)が完了したと発表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.