VMwareは、オンプレミスのVMware環境をクラウドサービス化できる「VMware vSphere+」「VMware vSAN+」を発表した。vSphereをサブスクリプション化すると共に、世界中に散在していても統合管理ができるようになる。また、追加サービスを必要に応じて使えるようになる。
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VMwareは2022年6月28日(米国時間)、「VMware vSphere+」と「VMware vSAN+」を発表した。同社の2023会計年度第2四半期中(2022年7月29日まで)に提供を開始する。
VMwareは2021年10月、年次イベントVMworld 2021で、vSphereをSaaS化し、包括的なハイブリッドクラウドプラットフォームに変えるプロジェクトである「Project Arctic」を発表した。vSphere+とvSAN+は、その製品化第1弾だという。
vSphere+はvSphereのアドオンではなく別製品だが、既存のvSphere環境に変更を加えることなく導入でき、永続ライセンスをサブスクリプションに移行できる。移行作業は1クリックでできるという。これが「サービスとしてのvSphere」への出発点となる。これをクラウドサービスのように管理し、さらに後述するディザスタリカバリなどの機能をSaaSとして追加利用できる。
「(vSphere+では)単一のSKU(製品品目)に、必要なコンポーネント全て(VMware vCenter、VMware ESXi、Tanzu Standard Runtime、Tanzu Mission Control Essentials、サポートなど)が含まれている」(プレスリリースより)
VMwareは、同社のKubernetesプラットフォーム製品群「Tanzu」がvSphere+にとって不可分な存在であることも強調する。Tanzu Standard Runtimeと管理ツールのTanzu Mission Control EssentialsがvSphere+の正式な構成要素になっていることで、「オンプレミスインフラを企業での利用に適したKubernetesプラットフォームに変身させられる」(同)。また、Tanzu Mission Controlを活用することで、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジにまたがるKubernetes環境の運用ができるとしている。
vSphere+におけるオンプレミス環境の統合管理は、クラウドコンソールによって実現する。
vSphereの管理サーバであるvCenterサーバが複数存在している場合は、これらを全て単一のポータルにひも付けることで一括管理できるようになる。ひも付けられるvCenterサーバの数に制限はない。また、世界中のどこにあるvCenterでもまとめ上げられる。
その上で、vCenterが取得する情報をこのポータルに統合し、VMware環境の稼働状態やセキュリティに関する状況を、統合的に監視できる。
vSphere+では、追加サービスをSaaSとして提供する。これも、「使いたい機能を、使いたいときに従量課金で利用する」というクラウドサービス的な考え方に基づくもの。第1弾は「VMware Cloud Disaster Recovery」だ。
VMware Cloud Disaster Recoveryはディザスタリカバリ(DR)/ランサムウェア対策のサービス。保護対象となるデータの容量と仮想マシンの数に基づいて課金される。他のサービスも計画中という。例えば、仮想デスクトップサービスやセキュリティサービスが期待できる。
今回発表のvSphere+とvSAN+は、クラウドサービスのメリットをオンプレミス環境に持ち込むことに焦点を当てたものだ。だがVMwareはProject Arcticの発表時に、ハイブリッド/マルチクラウド基盤への拡張について語っていた。
今回のプレスリリースも、「新たな追加的クラウドサービスを開発中で、将来提供することを考えている。(このサービスでは、)顧客がもし移行することを選ぶなら、クラウドへの道筋を効率化できるようにする」と表現している。
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