ハイブリッドワークをサポートする3つのクラウド技術Gartner Insights Pickup(263)

新しい働き方をサポートするために、今後活用が進むと予想される3つのクラウドベースのデジタルワークプレース技術を紹介する。

» 2022年07月01日 05時00分 公開
[Meghan Rimol, Gartner]

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が、オンプレミスのデジタルワークプレースソリューションの限界を露呈させ、企業は、クラウドでホストされる技術とサービスへの移行を加速させている。インフラとオペレーション(I&O)のリーダーは、未来の働き方をサポートする技術に目を向け、場所を問わず従業員にサービスを提供できる、クラウドベースの技術への投資を増やしている。

 「ハイブリッドワークへの移行は、I&Oリーダーに、サービスの提供方法に有意義な変革を起こす機会や、従業員エクスペリエンスへの注力を進める機会をもたらす」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターのスチュアート・ダウンズ(Stuart Downes)氏は語る。

 「クラウドベースのワークプレース技術により、どこでも仕事をすることやコストの最適化、プロセスの改善、技術パフォーマンスの向上が可能になる」(ダウンズ氏)

 以下では、分散型エンタープライズで従業員にサービスを提供し、未来の働き方をサポートするために、今後活用が進むとみられている3つのクラウドベースのデジタルワークプレース技術を紹介する。

No.1:デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)ツール

 リモートワークやハイブリッドワークでは、従業員は同僚やベンダー、顧客と、主にITを使ってやりとりする。そのため、エンドユーザーエクスペリエンスへのより深い理解と管理が求められる。

 デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)ツールは、デジタルエクスペリエンス(DX)監視や統合エンドポイント管理(UEM)、リモートモニタリングと管理ツールを進化させたものだ。従業員の感情データの収集やチームや組織構造のデータの統合、強化されたアナリティクス、機械学習(ML)エンジンによる実用的な洞察といった新しい機能を提供する。これらの新機能により、DEXツールがサポートするユースケースは飛躍的に増加している。

 Gartnerは、今後数年でDEXの導入が急速に進むと予測している。2025年までにIT部門の50%が、DEXの戦略、チーム、管理ツールを確立している見通しだ。2021年にはこの割合は5%だった。

No.2:統合エンドポイント管理(UEM)

 統合エンドポイント管理(UEM)は、広範なデバイスとそれらのデバイスに適用されるポリシー、クラウドソリューションからのアプリケーション、パッチ、更新プログラムの配布を管理する機能を提供する。この機能は、従業員がどこにいるかにかかわらず、企業全体でデバイスのセキュリティとコンプライアンスを維持する上で極めて重要だ。

 UEMはデバイスやOSによって異なるツールを統合し、プロセスを効率的にすることで、エンドポイント管理を簡素化する。さらに、アイデンティティーやセキュリティ、リモートアクセスツールとの統合の深化により、従業員が場所を問わず仕事ができるゼロトラストセキュリティモデルをサポートする。また、主要なUEMツールは、アナリティクスとMLを用いてインテリジェンス主導によるエクスペリエンスの自動化を実現し、ITオーバーヘッドの削減と従業員のエクスペリエンスを向上させられる。

 Gartnerの「Employee Impacts of Anywhere Operations」調査によると、企業の87%がUEM投資を維持または拡大する計画だ。分散型エンタープライズでは、UEMの導入により、運用を効率化してエンドポイント管理を改善できる。

No.3:DaaS(Desktop as a Service)

 ハイブリッドワークを実施するには、セキュリティ対策の強化とエンドポイントの柔軟性向上が必要になる。DaaS(Desktop as a Service)を利用すれば、仮想デスクトップやアプリケーションをクラウドで提供し、エンドポイントにアプリケーションやデータを保存する必要をなくすことでセキュリティを高められる。また、ハイスペックな自社所有エンドポイントをプロビジョニングすることなく、ユーザー数の急速な増加に対応できる。

 DaaSは家庭内のエンドポイントにデータを保存することなく、分散作業を可能にしたいと考える企業に支持されている。そのため、Gartnerは2024年までに、DaaS支出が2倍以上に増えると予測している。だが、社内のスキル不足とDaaSの複雑さが、DaaS導入の大きな障壁となっている。DaaSベンダーを選択する際は、利用可能な構成のレベルやDaaSベンダーが提供するサービス、社内で利用できるデスクトップ仮想化スキルのバランスを取る必要がある。

出典:3 Cloud Technologies to Support Hybrid Work Experiences(Smarter With Gartner)

筆者 Meghan Rimol

Senior Public Relations Specialist


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