レプリケートされたスキーマに関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(146)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、レプリケートされたスキーマに関する情報の出力について解説します。

» 2022年09月20日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_repl_schemas」における、レプリケートされたスキーマに関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Serverでは、レプリケーション機能を使用することでデータベースから別のデータベースにデータやデータベースオブジェクトをコピーして配布し、データベースを同期させることが可能です。

 「sys.dm_repl_schemas」では、レプリケートされたスキーマに関する情報を出力します。

出力内容

列名 データ型 説明
artcache_schema_address varbinary(8) メモリ内のスキーマ構造のアドレス
tabid bigint レプリケートされたテーブルのID
indexid smallint パブリッシュされたテーブルのクラスタ化インデックスのID
idSch bigint テーブルスキーマのID
tabschema nvarchar(510) テーブルスキーマの名前
ccTabschema smallint テーブルスキーマの文字の長さ
tabname nvarchar(510) パブリッシュされたテーブルの名前
ccTabname smallint パブリッシュされたテーブル名の文字の長さ
rowsetid_delete bigint 削除された行のID
rowsetid_insert bigint 挿入された行のID
num_pk_cols int 主キー列の数
pcitee binary(8000) 計算列の評価に使用されるクエリ式の構造へのポインター
re_numtextcols int レプリケートされたテーブル内のバイナリラージオブジェクト列の数
re_schema_lsn_begin binary(8000) スキーマバージョンのログ記録に関する最初のログシーケンス番号
re_schema_lsn_end binary(8000) スキーマバージョンのログ記録に関する最後のログシーケンス番号
re_numcols int パブリッシュされた列の数
re_colid int パブリッシュされた列のID
re_awcName nvarchar(510) パブリッシュされた列の名前
re_ccName smallint 列名の文字数
re_colattr tinyint パブリッシュされた列の属性
re_maxlen smallint パブリッシュされた列の最大長
re_prec tinyint パブリッシュされた列の有効桁数
re_scale tinyint パブリッシュされた列の小数点以下桁数
re_collatid bigint パブリッシュされた列の照合順序
re_xvtype smallint パブリッシュされた列の型
re_offset smallint パブリッシュされた列のオフセット
re_bitpos tinyint パブリッシュされた列のビット位置
re_fNullable tinyint パブリッシュされた列がNULL値をサポートするかどうか
re_fAnsiTrim tinyint パブリッシュされた列でANSI trimを使用するかどうか
re_computed smallint パブリッシュされた列が計算列であるかどうか
se_rowsetid bigint 行セットのID
se_schema_lsn_begin binary(8000) スキーマバージョンのログ記録に関する最初のログシーケンス番号
se_schema_lsn_end binary(8000) スキーマバージョンのログ記録に関する最後のログシーケンス番号
se_numcols int 列の数
se_colid int サブスクライバーでの列のID
se_maxlen smallint 列の最大長
se_prec tinyint 列の有効桁数
se_scale tinyint 列の小数点以下桁数
se_collatid bigint 列の照合順序ID
se_xvtype smallint 列の型
se_offset smallint 列のオフセット
se_bitpos tinyint 列のビット位置
se_fNullable tinyint 列がNULL値をサポートするかどうか
se_fAnsiTrim tinyint 列でANSI trimを使用するかどうか
se_computed smallint 列が計算列であるかどうか
se_nullBitInLeafRows int 列の値がNULLかどうか

動作例

 レプリケーションを構築し、データを配布した後に「sys.dm_repl_schemas」を実行すると、レプリケートされたスキーマに関する情報が出力されました(図1)。

図1 図1 レプリケートされたスキーマに関する情報が出力された

 「tabname」列からレプリケートされたオブジェクトの名前や、「re_awcName」列からオブジェクトの列名などを確認できます。構築した直後など、データ配布前はレコードが何も出力されないため注意が必要です。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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