WebAssemblyランタイム「Wasmer 3.0」公開、WAPMパッケージを直接実行できる「run」コマンド実装WAPMパッケージを直接実行可能、エンジンが簡素化

Wasmerは、WebAssemblyをサーバなどで実行するためのオープンソースランタイムの最新版「Wasmer 3.0」をリリースした。

» 2022年12月01日 10時30分 公開
[@IT]

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 Wasmerは2022年11月23日(米国時間)、オープンソースのWebAssemblyランタイムの最新版「Wasmer 3.0」をリリースしたと発表した。

 WebAssembly(「Wasm」と略される場合もある)は、Webブラウザなどモダンな実行環境での効率的なコード実行とコンパクトなコード表現を実現する安全でポータブルな低レベルフォーマット。World Wide Web Consortium(W3C)がコア仕様をW3C勧告として公開している。Wasmerは、WebAssemblyをサーバなどで実行できるようにするランタイムだ。

Wasmer 3.0の新機能

 Wasmer 3.0の新機能は次の通り。

「wasmer run」

 「wasmer run」コマンドにより、WAPMパッケージを直接実行できるようになった。

 WAPMは、WebAssemblyモジュールのオープンソースパッケージマネジャーで、Wasmerなど任意のWebAssemblyランタイムからスタンドアロンで使用できる。WAPMエコシステムは、パッケージを保存、提供する「WAPMパッケージレジストリ」(wapm.io)と、パッケージをインストール、管理する「WAPMパッケージクライアント」(wapm CLI)という2つのツールで実現されており、これらのツールはWasmerにバンドルされている。

 Wasmer 3.0ではwasmer runにより、wapm.ioに公開されているパッケージをwasmer CLIで実行できるようになった。例えば、「wasmer run python/python」により、wapm.ioから直接pythonパッケージをダウンロードし、実行できる。

Warpターミナルでpythonを実行するwasmer CLI(提供:Wasmer) Warpターミナルでpythonを実行するwasmer CLI(提供:Wasmer)

 これにより、wasmerでWAPMからWASI(WebAssembly System Interface)ファイルを実行するためのフローが大幅に簡素化される。WASIは、WebAssemblyのモジュラーシステムインタフェースだ。

改良されたAPIとメモリ管理

 WasmerのRust APIが一から作り直され、新しいAPIとメモリ管理スタイルにより、Wasmオブジェクトを安全に「Store」に格納できる。

エンジンの簡素化

 Wasmerではこれまで、dylibやユニバーサルなど、さまざまなコンセプトのエンジンが使われてきた。だが、コードの再利用を容易にするため、エンジンが1つに集約された。

ゼロコピーデシリアライゼーション

 ビルドの成果物のゼロコピーデシリアライゼーションに「rkyv」が使用されるようになった。これにより、起動のパフォーマンスが大幅に向上した。

Wasmからネイティブ実行ファイルを作成

 Wasmerの「create-exe」サブコマンドが刷新され、Wasmerは、WebAssemblyファイルをWindows、Linux、mac OSのネイティブ実行ファイルに変換できる。そのため、Wasmerのインストールを要求することなく、ユーザーに実行ファイルを配布可能だ。

改良されたWASI

 WasmerのWASI実装がより成熟した。例えば、ファイルシステムの複数のバグが修正され、その内部型がWebAssembly Interfaces(WAI)で作り直された。

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