2次元のキャリアパスを歩んでいても、想定内の未来しか見えない。エンジニアとして限界突破するために必要なもの。それは、3次元のキャリア構築だ。
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@ITが定期的に行う読者調査で、キャリアの悩みとして20年間トップに君臨(?)し続けている項目がある。「将来が不安」だ。「今後、どの分野を学べば生き残れるのか」「いまの会社にずっといていいのだろうか」「キャリアをどう積むのが正解か」など、今後の身の振り方が気掛かりな人が多いのだろう。
エンジニアとして生き残るためには、何を学び、どのようにキャリア構築すべきなのだろうか。ITフリーランス特化型のエージェントとして20年以上サービス展開をしている「ギークス」のトークイベント「TechValley(テックバレー)」から、そのヒントを探る。
ギークスでは、クライアント企業とタイアップし、エンジニアの技術習得機会を目的に本イベントを開催している。今回、エンジニアのキャリアの悩みに答えたのは、ギークスの小野凌さん(IT人材事業本部 大阪支店 リーダー)と、「フェンリル」の前垣内(まえがいと)健太郎さん(クラウド事業推進部 次長)だ。
小野さんは「ギークスジョブ(geechs job)」の営業担当として、約400社のIT人材不足の課題解決にかかわる一方で、企業と連携し、ITフリーランスのさまざまなチャレンジ機会を模索、設計している。
タブブラウザ「Sleipnir」(スレイプニール)にルーツを持つフェンリルは、「Nintendo Switch Onlineアプリ」(任天堂)や「NHKニュース・防災」(NHK)、「EXアプリ」(JR東海)をはじめとした400社600アプリの開発、UX開発を手掛け、多数のエンジニアと協業してきた。
求められるエンジニアであり続けるためには、平面の「キャリアパス」だけでなく、3次元の「キャリアラダー」(キャリアのはしご)を意識すべきだと前垣内さんは説く。そのココロは?
従来の「キャリアパス」と、「キャリアラダー」の違いは何だろうか。
キャリアパスは、1つの技術や領域が2次元的につながっているイメージ。1つを極めることで、その次につながっていく……という平面的な考え方だ。一方のキャリアラダーは、キャリアを進める中で高さのあるはしごを登り、「3次元的に飛び上がる」タイミングがある、という考え方だ。
例として前垣内さんは、ガラケー(フィーチャーフォン)とiPhoneを挙げる。
iPhone以前は、携帯電話アプリはガラケー向けしか存在せず、携帯アプリエンジニアのキャリアパスはガラケー向けのみで構成されていた。だが、iPhoneが2007年に発表され、2008年に日本で発売された瞬間、携帯アプリエンジニアの「ラダー」(はしご)が現れた。
「iPhone発売と同時に、iOSエンジニアというロールが“爆誕”した。そこでiOSエンジニアにチャレンジして、ラダーを登った人たちがいた。それが僕たち(フェンリル)だった」
ガラケー向け開発からはしごを登り、iOS向け開発の地平を開いたことが、現在のフェンリルの「400社、600アプリ」という開発実績につながっている。「キャリアを考えていくとき、ラダーのイメージを持ってほしい」という前垣内さんの言葉には実感がこもっている。
では、ラダーはいったいどこにあり、どう見つければいいのだろうか。
簡単な答えはないようだ。「アンテナに引っかかってきたこと、面白さを感じることなど、エンジニアとしてのセンスを信じてトライしていく」ことが、ラダー発見につながると前垣内さんは話す。
エンジニアとしてのキャリアを積むごとに、見通しは良くなるという。「エンジニアの頭にはライトが付いている」(前垣内さん)ためだ。ライトが照らせるエリアには限りがあるが、キャリアを積むほど高く、遠くが照らせるようになり、「面白そうなこと」が見えてくるという。
前垣内さん自身のキャリアラダーは、Ruby on Railsとの出合いだった。15年ほど前にエンジニアとしてのキャリアをスタートした前垣内さんは、まずJavaを習得、次にPHPを始めて「少しずつ世界観が変わった」。さらにRuby On Railsを試して「すごい!」と感じ、それが「ラダーを登った瞬間」。次にCakePHPも学んだことで、「すごい勢いで、顧客にいろいろなことを提案できるようになった」と話す。
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