TIOBE Softwareはプログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2023年1月版を発表した。「Python」「C」「C++」「Java」という上位4言語のレーティングがこの1年で大きく上昇し、C++がTIOBEの「2022年のプログラミング言語」となった。
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ソフトウェア品質の評価と追跡を手掛けるTIOBE Softwareは、2023年1月版の「TIOBEプログラミングコミュニティーインデックス」(通称「TIOBEインデックス」)を発表した。
TIOBEインデックスはプログラミング言語の人気度を示すランキングで、同社が毎月更新している。2023年1月のランキングでは「Python」が16.36%のレーティングを獲得し、首位を維持した。2〜5位は「C」(16.26%)、「C++」(12.91%)、「Java」(12.21%)、「C#」(5.73%)となった。
Pythonのレーティングは2022年11月に過去最高の17.18%に達したが、12月、2023年1月と2カ月連続で下落した。2位のCは、2022年6月からレーティングがほぼ一貫して上昇しており、12月と2023年1月には、いずれもPythonに0.1ポイント差に迫っている。
また、2022年後半からレーティングが上昇基調にあったC++は、12月にJavaをわずかな差で抜いて3位となり、2023年1月もわずかに差を広げて3位を維持した。
2023年1月のレーティングが前年同月比で上昇した言語は、上位20言語のうち10言語で、このうち上昇幅が1ポイントを超えた言語は、上位4言語(Python、C、C++、Java)のみだった。
TIOBE SoftwareのCEO(最高経営責任者)を務めるポール・ジャンセン氏は、TIOBEの「2022年のプログラミング言語」がC++になったと明らかにした。2022年にC++が最も人気を伸ばしたからだ(2023年1月のレーティングが前年同月比で4.62ポイント増)。レーティングの上昇幅が次に大きかったのは、C(3.82ポイント増)、Python(2.78ポイント増)だ。
C++の人気の理由は、高レベルのオブジェクト指向言語でありながら、優れたパフォーマンスを発揮することにある。そのおかげでC++では、高速で大規模なソフトウェアシステム(コードが数百万行以上)を開発でき、保守に苦労する羽目にならずに済む。
C++の人気が上昇しているもう1つの理由は、興味深い機能を持つ新しい言語標準が“最近”、継続してリリースされているからだ。2011年に公開された「C++11」は、1998年以来の大幅な改訂だった。その新しい言語定義をサポートするC++コンパイラがなかったため、この標準の採用には数年かかった。
だが、C++11のおかげで、TIOBEインデックスで2001年以降、下落し続けていたC++のレーティングが、徐々に上昇してきた。もう1つの大きな契機が、モジュールの導入などが行われた最近のC++20の公開だ。同標準は今後数年間、TIOBEインデックスでC++のレーティングをさらに押し上げるだろうと、ジャンセン氏は述べている。
またジャンセン氏は、2022年のTIOBEインデックスの動きについて、パフォーマンスが重要視されたようだとも指摘した。2023年1月のランキングで、C++のライバルとなる「Rust」が再び20位以内(18位)に入った(1年前は26位)ことを受け、同氏は、今回は20位以内に定着しそうだとの見方を示した。
さらに同氏は、2023年1月のランキングで、Cとのインタフェースが容易なことで知られる「Lua」が、30位から24位へと上昇したことにも言及した他、「F#」も、74位から33位へと興味深い動きを見せていると指摘した。
一方、「Kotlin」(29位から25位に)、「Julia」(28位から29位に)、「Dart」(37位から38位に)といった有望な言語が20位以内に入るには、まだ長い道のりがあると、同氏は述べている。
51〜100位のプログラミング言語については、順位の差が比較的小さいとして、次のようにアルファベット順に列挙している。
「ActionScript」「Alice」「Apex」「B4X」「bc」「Bourne shell」「C shell」「Chapel」「CL (OS/400)」「Clojure」「Common Lisp」「Crystal」「cT」「Elixir」「Emacs Lisp」「Erlang」「Forth」「GAMS」「Hack」「Icon」「IDL」「Inform」「Io」「J#」「JScript」「Korn shell」「Ladder Logic」「Limbo」「LPC」「ML」「Modula-2」「MQL5」「NATURAL」「OpenEdge ABL」「PL/I」「Pony」「Processing」「Programming Without Coding Technology」「Q」「Racket」「Raku」「Ring」「S」「Solidity」「SPARK」「Tcl」「VBScript」「VHDL」「X++」「Zig」。
TIOBE SoftwareはTIOBEインデックスの過去12カ月の平均順位における上位10言語の他、知名度の高い5言語は5年ごとの順位もまとめている。過去20〜25年でPython、Java、C#、「JavaScript」が大きく順位を上げている。CとC++も根強い人気を保っていることが分かる。
TIOBEインデックスのレーティングは、世界の熟練エンジニア、学習講座、サードパーティーベンダーの数に基づいて算出されている。レーティングの計算には、GoogleやBing、Yahoo!など広く普及した検索エンジンが使われている。
TIOBE Softwareは「TIOBEインデックスは『どのプログラミング言語が優れているのか』『どの言語で書かれたコードの行数が多いのか』を示すものではない」と説明している。
同社はTIOBEインデックスの使い方として「自分のプログラミングスキルが時流に合っているかどうかをチェックする」「新しいソフトウェアシステムを作り始めるに当たって、どのプログラミング言語を採用するかという戦略的判断に役立てる」といった例を挙げている。
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