従業員は、デジタルワークプレース技術をなかなか好きにならないかもしれない。だが、ITリーダーは、従業員が技術によってどのようにつながってコラボレーションし、成功できるかを伝えるためにもっとできることがある。
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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
デジタルワークプレースアプリケーションは、ワークライフをより簡単かつ生産的にできるようにするエキサイティングなイノベーションを体現している。では、なぜ従業員は、しばしば冷ややかな反応を示したり反発したりするのだろうか。
「デジタルワークプレースは、新しい働き方を促進し、デジタルトランスフォーメーション(DX)のような企業目標の推進に必要なデジタルデクステリティ(技術を活用する能力や意欲)を従業員に持たせるように設計されている。問題は、アプリケーションを開発するリーダーのビジョンを理解し、共有する従業員があまりにも少ないことだ」。Gartnerのディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのマット・ケイン(Matt Cain)氏は、そう指摘する。
ITリーダーが、従業員がデジタルワークプレースを受け入れることを本当に望むなら、ワークプレース技術に関する時代遅れの考え方から脱却し、主要なステークホルダーとより積極的に関わり、懸念に耳を傾けて、デジタルワークプレース戦略の具体的なメリットを示す必要があるかもしれない。
デジタルワークプレースは、デジタルデクステリティを高め、新しい働き方を支えるアプリケーションやデバイス、設備、サービスのポートフォリオで構成されており、従業員の体験とエンゲージメントに貢献する。
Gartnerは、デジタルデクステリティを「ビジネス成果向上のために既存および先進技術を最大限に活用しようとする従業員の能力や意欲」と定義している。デジタルデクステリティは、ますます重要になっている。ほとんどの仕事でデジタル要素が大きくなっているからだ。魅力的で直感的な仕事環境を構築し、こうしたデジタルデクステリティを高めるには、優れたデジタルワークプレース戦略が必要になる。
このようにデジタルワークプレースの意義は明らかだが、多くのITリーダーが重要なワークプレース技術の導入と活用を進めるのに苦労している。それらの取り組みへの期待や意欲をかき立てることに苦労しているのは言うまでもない。
成功の鍵は、デジタルワークプレース技術によって、従業員が仕事をしやすくなることを示すことだ。例えば、この技術は日々の業務を改善したり、プロセスや働き方が変化するDXの過程で、従業員が力量を発揮するのに役立つ。
だが、ITリーダーは、ワークプレース技術に関する自分たちの想定が時代遅れになっていないかどうかを自問する必要がある。以下に挙げる一般的な3つの誤解は、ワークプレース技術へのユーザーの支持を獲得する妨げになる可能性がある。ITリーダーは、考え方を改めるべき時かもしれない。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に伴い、テレワークが主流になった。だが、こうした技術の利用形態を見て「デジタルワークプレースが突然受け入れられた」と勘違いしてはならない。実際には、依然として多くの企業が、誰もがオフィスで一緒に働いていたときと同じように仕事を組織し、意思決定をしている。
例えば、ビデオミーティングソリューションやビジュアルコラボレーションアプリケーションは広く採用されている。だが、ほとんどの企業は、既存のコミュニケーション/コラボレーション体験をなぞるような使い方しかしていない。プロセスを変革して、デジタルワークプレーステクノロジーへの投資のメリットをフルに享受し、新しい働き方を始めるチャンスなのに、それを逃しているといえる。
代わりに、従業員がワークストリームコラボレーションアプリケーションを利用することで、会議の必要性を減らしたり、会議の録画や議事録を利用して会議に出席する回数を減らせたり(または、欠席した会議の内容を把握したり)できることを周知するとよい。また、ビジュアルコラボレーションアプリケーションを使えば、物理的なアナログの会議室のホワイトボードを単に再現するよりも、はるかに多くのことができることを周知することも重要だ。
推奨事項
パンデミック前から分散型チームが増えてきたものの、まだ多くのビジネスリーダーは、コラボレーションを「複数人が同時に行う行動」と捉えており、従業員が同じ場所やアプリケーションで共通のタスクに取り組むときに最もうまくいくと考えている。
だが、Gartnerの調査は、非同期で行われるコラボレーションも高度なチームイノベーションを達成する上で、同じくらい重要である(より重要ではないとしても)ことを示している。従業員が同じ時間を共有する頻度が低いハイブリッドワークを導入している企業では、特にそうだ。
こうした仕事の未来へのトレンドをサポートして実現するには、Gartnerが言うところの「新しいワークハブ」の採用を検討するとよい。新しいワークハブは、新しい働き方に(特に、コラボレーションに関連して)必要な柔軟性を実現するアプリケーションや機能を選択し、組み合わせるためのモデルとして利用できる。
ワークハブは技術的な構成要素だが、従業員を第一に考え、各部門やビジネスユニット、各従業員グループのワークプレースに必要な機能を理解する必要がある。例えば、顧客サポートサービスでは、顧客とのやりとりやドキュメントの共有、受信するための個別の機能を、データプライバシーの保証に加え、コンプライアンスおよびセキュリティと統合し、安全な外部とのコラボレーションを実現する必要があるかもしれない。
ワークプレース技術の導入を進めるには、技術的な好奇心をかき立て、共有を促進する文化を作るのが一番だ。この文化の下では、チームメート同士が仕事の中で、アプリケーションによって業務がどう改善されるかを示し、デジタル技術のスキルを高め合う。Gartnerの「2021 CIO Technology Skills Outside of IT」調査によると、従業員がスキルアップのために最も好むのは、ピアラーニング(同僚同士が互いに協力して学び合う学習手法)だ。
推奨事項
ローコードやノーコード開発ツールが広く出回り、強力な機能を提供するようになったため、市民開発者などのビジネステクノロジストが、企業のIT部門に認可された開発ツールや実行環境を使って、新しいビジネスアプリケーションを作れるようになった。いまだにこうした活動を「危険なシャドーIT」と切り捨てている人は、考え直す必要がある。
ビジネス活動に関する深い知識を持つ市民開発者は、さまざまなビジネス目標に具体的に貢献し、ビジネスプロセスや意思決定、さらには顧客対応力を向上させる。市民開発者は、IT部門が担当してきた次のような仕事に対応できる。
ビジネス主導の技術提供は、DXの加速と拡大、そして有意義なワークプレース技術の展開に不可欠な要素だ。この要素を取り入れていくことが求められる。
推奨事項
出典:Getting Employees to Love Workplace Tech(Smarter With Gartner)
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