サイバーセキュリティ市場の第4四半期シェア2位はFortinet、1位は？：Canalysが調査

Canalysによると、2022年第4四半期のサイバーセキュリティ市場は前年同期比14.5％増の196億ドルとなり、2022年通年のサイバーセキュリティ市場は前年比15.8％増の711億ドルだった。

[＠IT]

　調査会社のCanalysは2023年3月23日（米国時間）、2022年第4四半期と通年における世界サイバーセキュリティ市場動向を発表した。

　2022年第4四半期のサイバーセキュリティ市場は前年同期比14.5％増の196億ドルとなった。好調なチャネル販売が直接販売の落ち込みを相殺し、サイバーセキュリティ支出は堅調に伸びた。チャネル販売による売上高は前年同期比16.2％増の180億ドルで、市場全体の91.8％を占めた。残る8.2％を占めた直接販売による売上高は1.8％減少した。

　2022年通年のサイバーセキュリティ市場は、前年比15.8％増の711億ドルとなり、チャネル販売売上高は16.1％増の646億ドルで、市場全体の91.0％を占めた。

　カテゴリー別では、2022年第4四半期はネットワークセキュリティの売上高が前年同期比8.9％増の54億ドルで、最大のカテゴリーとなった。脆弱（ぜいじゃく）性／セキュリティ分析が18.2％増の42億ドル、アイデンティティーアクセス管理が15.6％増の37億ドルと続いた。

　Canalysによると、サイバーセキュリティ市場は全体的に好調だったが、IT予算の制約が強まり、顧客はプロジェクトに優先順位を付けなければならなくなった。支出に対する監視が厳しくなったことから、販売サイクルが長くなったという。

2022年第4四半期の世界サイバーセキュリティ市場におけるカテゴリー別のシェアと成長率（提供：Canalys Cybersecurity Analysis - March 2023）

　サイバーセキュリティ市場は主要ベンダーがしのぎを削っており、非常に断片化している。2022年第4四半期は上位12社が市場の売上高全体の47.1％を占めた。

　Palo Alto Networksが2022年第4四半期も首位を維持し、Fortinetはミッドレンジファイアウォールの受注残の出荷を増やしたことで、Cisco Systemsを抜いて2位につけた。Check Point Software Technologiesは4位となったが、CrowdStrikeの追い上げが続いている。また、OktaとMicrosoftも順位を上げた。

2022年第4四半期の世界サイバーセキュリティ市場におけるベンダー別のシェアと売上高成長率（提供：Canalys Cybersecurity Analysis - March 2023）

　Canalysでチーフアナリストのマシュー・ボール氏は、次のように説明している。「顧客企業は、サイバーレジリエンスを高めるための投資を引き続き強化している。販売サイクルの長期化、ハードウェアの更新プログラムの成熟、支出の優先順位付けといった要因により、2023年の市場成長率は鈍化するだろう。だが、サイバーセキュリティは依然として企業の優先事項だ。セキュアサービスエッジ、アイデンティティーアクセス管理、クラウドセキュリティおよびセキュリティオペレーションセンターのモダナイゼーションが、今後も重視される」

成功しているサイバーセキュリティ企業の戦略とは

　さらにボール氏は、成功しているサイバーセキュリティベンダーがこの2年間、採用してきた販売戦略を次のように解説している。「こうしたベンダーは、サブスクリプションでアクセスできる新しい機能を開発または買収し、サイバーセキュリティプラットフォームを開発、拡充することで新規顧客を獲得し、アドオンモジュールで既存顧客への販売を拡大してきた」

　またボール氏は、上位のサイバーセキュリティベンダーはこうして景気低迷を乗り切り、顧客がコスト削減のためにベンダーの集約を進める動きも利用してきたと指摘している。「ただし、その結果、平均的な取引規模が拡大したことが、プロジェクトに対する監視の強化や販売プロセスの長期化の一因にもなっている」と、同氏は付け加える。

　Canalysは、サイバーセキュリティ市場の地域別の内訳についても、次のグラフで図示している。

2022年第4四半期の世界サイバーセキュリティ市場の地域別内訳（提供：Canalys Cybersecurity Analysis - March 2023）