5類移行をきっかけに、新型コロナウイルス感染症が話題に上ることは少なくなった。それ自体は良いことかもしれないが、そこで得られた教訓を眠らせておくのは惜しい。本稿は、コロナ禍をきっかけに紙媒体を中心とした業務をローコード/ノーコード開発ツールで効率化した千葉県の事例を紹介する。
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2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて、全国各地の医療機関や保健所、自治体が対応に追われて混乱を極めたことは記憶に新しい。千葉県も同様で、最も忙しいときには300人近くの職員が月80時間以上の残業をしていたという。
当時、千葉県庁内に設けられた新型コロナウイルス感染症対策本部のDB導入グループに所属し、COVID-19対策の業務に従事した屋宜哲也氏(現、県土整備部 河川環境課 河川海岸管理室 主幹兼室長)は、現場の混乱ぶりを次のように振り返る。
「私はもともと別の部署から応援に入ったのですが、感染者の数が爆発的に増えるに伴い業務量も急増し、誰もが疲弊しきっていました。一方、現場では紙の書類が積み上がっていたり、保健所とのやりとりをFAXで行っていたり、ホワイトボードに記録をとっていたりと、アナログで非効率な業務のやり方がまかり通っていました」(屋宜氏)
それまで長らく、部署ごとに個別にデータを管理して帳票を作成するという業務スタイルが根付いていた。そのため、COVID-19関連の業務についても同様に部署ごとに個別に管理している「Microsoft Excel」(以下、Excel)に情報を入力し、個別に帳票を作成するといった非効率な作業が繰り返されていた。
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