Googleは、DevOpsを実践する開発者を対象とした分析結果を公開した。DevOpsという開発手法で好成果を収めるパフォーマーたちが、どのように技術的かつ文化的能力を開発の過程に組み込み、成功をもたらしているのかをテーマに深堀りしたという。
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Googleは2023年10月6日(米国時間)、DevOpsを実践する開発者を対象とした分析結果を公開した。この調査は、同社が2013年から9年間にわたって世界中の3万6000人以上のプロフェッショナルから得たデータを基に、同社のDevOps Research and Assessment(DORA)チームが実施した。DevOpsという開発手法で好成果を収めるパフォーマーたちが、どのように技術的かつ文化的能力を開発の過程に組み込み、成功をもたらしているのかをテーマに深堀りしたという。
同社の調査では、組織のソフトウェアデリバリーパフォーマンスのレベルを基に、全体的なパフォーマンスやチームのパフォーマンスおよび従業員の幸福度を予測している。ソフトウェア変更のスループットと安定性を理解するために以下の尺度を使用している。
今回の調査では、2022年の調査では検出されなかったエリートパフォーマンスレベルの復活を含む、4つのパフォーマンスレベルが明らかになった。世界中のエリートパフォーマーは、スループットと安定性の両方を達成しているという。
同社によると、ソフトウェアデリバリー能力を向上させるには幾つかの重要な点があるという。調査から得られた洞察は下記の通り。
文化は技術的パフォーマンスに火を点ける。そして、組織のパフォーマンス目標を達成し、従業員を成功に導くための基盤だ。健全な文化があれば生産性を向上させ、仕事への満足度を高める。チームに所属していると感じる人々で構成される生成的な文化を持つチームは、その文化を持たない組織よりも業績が30%高い。
チームはユーザーを念頭に置く必要がある。調査によると、アプリケーションやサービスの構築におけるユーザー中心のアプローチは、組織全体のパフォーマンスに最も大きく関わる要因のうちの1つだ。ユーザーを重視しているチームは、そうでないチームよりも組織としてのパフォーマンスが40%高い。
品質の高いドキュメントは、DevOpsの技術的能力(継続的インテグレーションやトランクベースの開発など)が組織のパフォーマンスに与える影響を大きくする。高品質なドキュメントは、技術の確立を支援するだけでなく、重要性を高めることにもつながるのだ。全体として、質の高いドキュメントは、質の低いものと比較してチームのパフォーマンスを25%向上させる。
自分が少数派だと考えている人や女性、あるいは自分の性別を自己表現することを選択した人は、燃え尽き症候群のレベルが高い。これには複数の制度的、環境的要因があると考えられる。より反復的な仕事を引き受ける回答者ほど、重度の燃え尽き症候群を経験する可能性が高く、過小評価されているグループのメンバーほど、より反復的な仕事を引き受ける可能性が高いことが分かった。また、女性または性別を自己表現した回答者は、男性よりも40%多く反復的な仕事をしている。
チームは、迅速かつ柔軟なオンデマンドのセルフサービスというクラウドの特性を活用することで、クラウドから最大の価値を引き出せる。例えば、パブリッククラウドを使うと、クラウドを使わない場合と比較して、インフラの柔軟性が22%向上する。これにより、柔軟性に欠けるインフラを持つチームと比較して、組織のパフォーマンスが30%向上する。
この調査により、業績を上げるには継続的な改善が必要だと分かった。組織やチーム、従業員全体の成果を定期的に測定し、最適化が必要な領域を特定したら、パフォーマンスを向上させるために漸進的な変更を加える。
AI(人工知能)を使った開発ツールの可能性については、多くの回答者が「Googleの調査に含まれるタスクに少なくとも何らかのAIを組み込んでいるが、AIを搭載したツールが業界で広く協調的に使用されるようになるには、まだ時間がかかる」と予想している。
「時間の経過とともに導入がどのように拡大し、その拡大が組織にとって重要な業績評価指標や成果にどのような影響を与えるかに注目している」(Google)
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