VMwareとGoogle Cloudは、「企業のオンプレミスでの生成AI活用を容易にする」として、協業を発表した。AlloyDBのAI関連機能を生かしたアプリ開発を、IT管理者、データ管理者、開発チームが連携して迅速に進められるという。
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VMwareとGoogle Cloudは2023年11月7日、スペイン・バルセロナで開催されたVMwareの年次イベント「VMware Explore 2023 Europe」で、生成AIに向けた両社の製品レベルでの協業を発表した。
VMwareのデータベース管理とGoogle CloudのPostgreSQL互換データベースを連携する(発表時点ではテクニカルプレビュー)。これにより、オンプレミスにおける従来型AI/生成AIアプリケーション開発が容易になるという。
VMwareは「VMware Private AI」という取り組みで、生成AIのためのプラットフォームとしての自社の役割を前面に押し出している。2023年8月のNVIDIAに続き、バルセロナではIntelとCPUおよびGPUとの統合ソリューションを発表した。
VMwareは今回、生成AIに関する自社の役割を、仮想化インフラのレイヤーからデータサービス管理に広げた。
同社はバルセロナで、「VMware Data Services Manager(以下、DSM)」を発表した。これは各種のデータベース(やストレージなど)を管理するコンソールサービス。さまざまな場所に散在するデータベースを統合管理できる。
DSMでは、データベースのプロビジョニング/構成や、ポリシーに基づくリソース制御などの運用を、VMware Cloud Foundationに慣れたIT管理者なら特別な訓練なしに実行できるという。
「ITインフラ管理者は、インフラに関するポリシーを完全に制御できる」(VMware)
IT管理者による管理が容易になるだけではないとVMwareは強調する。
「データチームやデータベース管理者はデータポリシーを完全に制御し、オンプレミスのデータベースやその他のデータサービスを、セルフサービス形式で事業部門に提供できる」(VMware)
このため、スピードを落とすことなくアプリケーションの開発が可能だとしている。
DSMは現在、MySQLとPostgreSQLをサポートしている。これに加えて今回、VMwareは「AlloyDB Omni」(とAmazon S3互換のオープンソースストレージソフトウェア「MinIO」)のサポートを発表した。
AlloyDBはPostgreSQL互換のデータベースで、コンピュートとストレージを分離した設計などによる高速性やスケーラビリティが特徴。さらにAI/生成AI関連機能も強化されており、これをGoogle Cloudは「AlloyDB AI」と呼んでアピールしている。
AlloyDB AIの特徴は主に次の3つ。
こうしたAlloyDBのメリットをGoogle Cloudだけでなく、どこでも活用できるようにするとして、Google Cloudは「AlloyDB Omni」を提供している。ダウンロードして任意の場所で稼働でき、Google Cloudによるサポートを受けられる。
今回の協業では、VMware Cloud Foundation上でのAlloyDBの導入・稼働がDSMによって容易に行えるようになる。その上で、AIアプリケーションの開発チームに対してAlloyDB Omniをサービスとして提供できるという。ストレージには「VMware vSAN」が使われることで、パフォーマンスと拡張性の点でも有利という。なお、AlloyDB Omniについては、Google Cloudによるエンタープライズサポートの対象になる。
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