【 Clear-Disk 】コマンドレット――コンピュータのディスク上のデータを消去するWindows PowerShell基本Tips(92)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Clear-Disk」コマンドレットを解説します。

» 2023年12月08日 05時00分 公開
[後藤諭史@IT]

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「Windows PowerShell基本Tips」のインデックス

連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、コンピュータに接続されたディスク上のデータを消去する「Clear-Disk」コマンドレットです。

Clear-Diskコマンドレットとは?

 コンピュータに接続された物理ディスクを別のコンピュータで転用したり、物理ディスクを廃棄したりする場合、ディスク上のデータの消去は必須といえます。ディスク上の全情報の削除手法として真っ先に思い付くのが、GUIツールである「ディスクの管理」ツールを使用した「ボリュームの削除」でしょう。

 しかし、「ボリュームの削除」で行えるのはあくまで“ボリューム(パーティション)の削除”であり、物理ディスク上に複数のパーティションが設定されている場合には、パーティションごとに削除作業を行う必要があります(画面1)。

ALT 画面1 GUIツールを使用して物理ディスク上のパーティションを削除する場合は、全てのパーディションで削除処理を行う必要がある

 また、この作業ではボリューム(パーティション)だけが削除され、Windows OSでディスクを利用可能にするために必要な初期化設定(パーティション形式)は削除できません。

 「Clear-Disk」は、ディスク上に格納されたデータやパーティション、パーティション形式といった初期化設定も含め、ディスク上の全てのデータを消去し、ディスクを初期化されていない状態にまで戻すコマンドレットです。

 Clear-Diskコマンドレットを使用することで、GUI操作では不可能な「回復パーティション」の消去までもが可能で、非常に強力です。したがって、“データ消去”というコマンドレットの特性上からも実行には細心の注意を払ってください。

Clear-Diskコマンドレットの書式

Clear-Disk [オプション]


Clear-Diskコマンドレットの主なオプション

オプション 意味
-Number データを消去したいディスクの番号を指定する。「-UniqueId」オプション指定時には省略可能
-UniqueId データを消去したいディスクのユニークIDを指定する。「-Number」オプション指定時には省略可能
-RemoveData 利用中のデータパーティションも含めて消去する。省略可能
-RemoveOEM 回復パーティションも含めて消去する。省略可能

ディスクを指定して消去する

 消去したいディスク番号のみを指定してClear-Diskコマンドレットを実行すると、利用可能なデータパーティションや回復パーティションではない場合に限り、消去実行確認プロンプトの応答を経て、ディスク上の全データが消去されます(画面2)。なお、本コマンドレット実行時には管理者権限が必要となります。

コマンドレット実行例

Clear-Disk -Number 0

ALT 画面2 ディスク番号のみを指定してClear-Diskコマンドレットを実行

 コマンドレット実行後の状態をGUIツールで確認すると、画面3のように初期化されていない状態に戻っています。再度OS上から認識させるには初期化作業が必要となります。

ALT 画面3 Clear-Diskコマンドレットを実行後のディスクの状態

データパーティションが存在するディスクを消去する

 利用可能なデータパーティションが存在する場合は、ディスク番号のみを指定してClear-Diskコマンドレットを実行しても「消去できない」旨のエラーメッセージが表示されます。

 この場合、エラーメッセージの通り、「-RemoveData」オプションを付与して実行することで、ディスク上の全データを消去できます(画面4)。

コマンドレット実行例

Clear-Disk -Number 0 -RemoveData

ALT 画面4 「-RemoveData」オプションなしではエラーが表示されたが、オプションを付与することでClear-Diskコマンドレットが実行できた

回復パーティションが存在するディスクを消去する

 Windowsでシステムに問題が発生した際に、OSインストール直後や工場出荷状態へ復元するための仕組みとして「回復パーティション」と呼ばれるものが準備されています。通常、このパーティションは保護されており、GUIツールなどでも消去できないようになっています。

 当然のことながら、Clear-Diskコマンドレットからも保護されており、回復パーティションを含むディスクを消去する場合はエラーメッセージの通り「-RemoveOEM」オプションを付与して実行する必要があります。データパーティションも含まれている場合は、前項の「-RemoveData」オプションを併用します(画面5)。

コマンドレット実行例

Clear-Disk -Number 6 -RemoveData -RemoveOEM

ALT 画面5 回復パーティションが含まれているディスクのため、「-RemoveOEM」オプションを付与して実行した

 繰り返しになりますが、Clear-Diskコマンドレットはデータの消去を伴う作業となるため、実行に際しては細心の注意を払い、確認作業を徹底して実施してください。

筆者紹介

後藤 諭史(ごとう さとし)

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2024)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。


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