本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「Clear-Disk」コマンドレットを解説します。
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本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、コンピュータに接続されたディスク上のデータを消去する「Clear-Disk」コマンドレットです。
コンピュータに接続された物理ディスクを別のコンピュータで転用したり、物理ディスクを廃棄したりする場合、ディスク上のデータの消去は必須といえます。ディスク上の全情報の削除手法として真っ先に思い付くのが、GUIツールである「ディスクの管理」ツールを使用した「ボリュームの削除」でしょう。
しかし、「ボリュームの削除」で行えるのはあくまで“ボリューム(パーティション)の削除”であり、物理ディスク上に複数のパーティションが設定されている場合には、パーティションごとに削除作業を行う必要があります(画面1)。
また、この作業ではボリューム(パーティション)だけが削除され、Windows OSでディスクを利用可能にするために必要な初期化設定(パーティション形式)は削除できません。
「Clear-Disk」は、ディスク上に格納されたデータやパーティション、パーティション形式といった初期化設定も含め、ディスク上の全てのデータを消去し、ディスクを初期化されていない状態にまで戻すコマンドレットです。
Clear-Diskコマンドレットを使用することで、GUI操作では不可能な「回復パーティション」の消去までもが可能で、非常に強力です。したがって、“データ消去”というコマンドレットの特性上からも実行には細心の注意を払ってください。
オプション | 意味 |
---|---|
-Number | データを消去したいディスクの番号を指定する。「-UniqueId」オプション指定時には省略可能 |
-UniqueId | データを消去したいディスクのユニークIDを指定する。「-Number」オプション指定時には省略可能 |
-RemoveData | 利用中のデータパーティションも含めて消去する。省略可能 |
-RemoveOEM | 回復パーティションも含めて消去する。省略可能 |
消去したいディスク番号のみを指定してClear-Diskコマンドレットを実行すると、利用可能なデータパーティションや回復パーティションではない場合に限り、消去実行確認プロンプトの応答を経て、ディスク上の全データが消去されます(画面2)。なお、本コマンドレット実行時には管理者権限が必要となります。
Clear-Disk -Number 0
コマンドレット実行後の状態をGUIツールで確認すると、画面3のように初期化されていない状態に戻っています。再度OS上から認識させるには初期化作業が必要となります。
利用可能なデータパーティションが存在する場合は、ディスク番号のみを指定してClear-Diskコマンドレットを実行しても「消去できない」旨のエラーメッセージが表示されます。
この場合、エラーメッセージの通り、「-RemoveData」オプションを付与して実行することで、ディスク上の全データを消去できます(画面4)。
Clear-Disk -Number 0 -RemoveData
Windowsでシステムに問題が発生した際に、OSインストール直後や工場出荷状態へ復元するための仕組みとして「回復パーティション」と呼ばれるものが準備されています。通常、このパーティションは保護されており、GUIツールなどでも消去できないようになっています。
当然のことながら、Clear-Diskコマンドレットからも保護されており、回復パーティションを含むディスクを消去する場合はエラーメッセージの通り「-RemoveOEM」オプションを付与して実行する必要があります。データパーティションも含まれている場合は、前項の「-RemoveData」オプションを併用します(画面5)。
Clear-Disk -Number 6 -RemoveData -RemoveOEM
繰り返しになりますが、Clear-Diskコマンドレットはデータの消去を伴う作業となるため、実行に際しては細心の注意を払い、確認作業を徹底して実施してください。
Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2024)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。
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