ノークリサーチは、中堅中小企業を対象に実施した、セキュリティ対策ニーズに関する分析結果を発表した。同社は「法制度に関連した取り組みがセキュリティ対策ニーズに影響を与えている」と分析している。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ノークリサーチは2023年12月14日、セキュリティ対策のニーズに関する調査結果を発表した。これは年商500億円未満の中堅中小企業1300社を対象に実施したもの。サイバー攻撃の巧妙化、高度化によってセキュリティ対策の必要性が唱えられているが、同社は「脅威を訴えるだけでなく、最新のIT活用動向を踏まえた提案を進めていくことも大切だ」と指摘している。
調査では、セキュリティや運用管理、バックアップといった「守りのIT対策」として製品やサービスが持つべきと考える機能や特徴について、「社内外で端末を安全/最新な状態に保つ」「標的型攻撃を想定した実地訓練サービスを利用できる」といった23項目の選択肢を挙げ、中堅中小企業のニーズを分析した。
例えば「侵入したマルウェアの隔離/無力化が必要だ」と回答した企業の割合は、平均19.3%だった。企業の年商別に見ると、年商50億〜100億円と同100億〜300億円が、他の層よりも比較的高く2割超となっているものの、突出して高い層はなかった。ノークリサーチは「ニーズが高いことは分かっていても、どの企業に提案すればいいか判断するのは難しい。IT企業は、訴求したいセキュリティ対策ニーズと関連の深いIT活用動向を把握し、該当するIT活用に取り組んでいる企業を訴求対象とするアプローチが有効だ」としている。
また、同調査は業務アプリケーションの導入や更新に関する全体的な方針についても調べている。「個別カスタマイズが不要なアプリケーションを優先する」「生成AI(人工知能)を業務アプリケーションに組み込んで利用する」など22項目の選択肢を挙げ、機能や特徴に関するユーザー企業のニーズを調べた。
例えば「権限を制限/分割して不正アクセス被害を一部分にとどめられる」といった権限管理機能については、外国人労働者の活用を見据えた企業でのニーズが高かった。これは「言葉の壁」によるシステム誤操作のリスクを回避するためだ。また、「メールによる秘匿情報の漏えいや誤送信を防止できる機能」に関しては、残業抑制に取り組む企業のニーズが高かった。業務を効率化するために上司のいない社外からメールを送信する場面が増えることを見越していると考えられる。
ノークリサーチはこれらの点を踏まえて「残業抑制や外国人労働者の活用といった法制度に関連した取り組みがセキュリティ対策ニーズに影響を与えている」と分析している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.