AI投資の爆発的増加がクラウドインフラ支出に影響 IDC2023年第4四半期のインフラ支出動向を発表

IDCは、2023年第4四半期のクラウドコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出を購入用途別、購入者別、地域別に分類した結果を発表した。AI投資の爆発的増加がクラウドインフラ支出を後押ししていると分析している。

» 2024年04月17日 08時00分 公開
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 調査会社のIDCは2024年3月28日(米国時間)、2023年第4四半期の専用、共有クラウドコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出動向を明らかにした。

 IDCは専用クラウドと共有クラウドを以下のように定義している。

  • 専用クラウド:1つの企業または企業グループ内で共有されるクラウドを指す。クラウドサービスプロバイダーの施設に展開される場合と、顧客の施設に展開される場合がある
  • 共有クラウド:パブリッククラウドサービス(企業のデータセンターに展開されたITインフラの拡張や置き換えのために設計されたさまざまなサービスを含む)や、各種デジタルサービス(メディア/コンテンツ配信、共有、検索、ソーシャルメディア、電子商取引など)に使われるクラウドを指す。相互に無関係な企業や消費者の間で共有される

AI関連投資の爆発的増加がクラウド支出にも影響

 クラウドコンピューティングおよびストレージインフラ支出は、前年同期比18.5%増の318億ドルだった。非クラウドインフラ支出は前年同期比16.4%増の189億ドルであり、クラウドインフラ支出の伸びは非クラウドを上回っている。クラウドインフラは、単位出荷数が22.8%減少したが、平均販売価格(ASP)が上昇した。IDCは、ASPの上昇理由について、ハイパースケーラーへのGPUサーバの出荷増加と関連があると分析している。

  IDCのリサーチディレクターであるフアン・パブロ・セミナラ氏は次のように述べている。

 「クラウドインフラストラクチャへの支出は、主にAI関連投資の爆発的な増加に後押しされ、より強力なインフラ構成の実現に向けて加速し続けている。社会政治的な面では若干の警戒感が残るものの、経済見通しの改善は2024年と2025年の支出見通しを非常に明るいものにしており、クラウドベースの支出は2桁の成長率で回復すると予想される」

 共有クラウドインフラ支出は228億ドルに達し、前年同期比27.0%増となった。共有クラウドインフラ支出は、専用クラウドや非クラウド支出に対して、引き続き支出の最大のシェアを占めている。2023年第4四半期には、共有クラウドがインフラ支出全体の44.9%を占めた。専用クラウドインフラ支出は、前年同期比1.4%増の90億ドルと緩やかな成長を示した。

 IDCは、2024年のクラウドインフラ支出が、2023年比19.3%増の1299億ドル、非クラウドインフラは1.4%減の576億ドルになると予測している。共有クラウドインフラは通年で前年比21.6%増の953億ドル、専用クラウドインフラ支出は通年で13.3%増の346億ドルと堅調な成長を見込んでいる。一方、非クラウドインフラ支出は、前年比1.4%減と予測した。

 クラウドインフラはビジネスにとって極めて重要で、中断することが許されない新規や既存の業務のワークロードを担っており、こうしたワークロードは多くの場合、ハイエンドでパフォーマンス重視のシステムを必要とする。そのためクラウド支出は、今後も堅調に推移することが予想されると、IDCは述べている。

サービスプロバイダーのクラウドインフラ支出

 IDCは、さまざまなサービスプロバイダーがクラウドと非クラウドの両方を含むコンピュートリソースとストレージのインフラをどれだけ購入しているか追跡している。これには、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信サービスプロバイダー、ハイパースケーラー、マネージドサービスプロバイダーが含まれる。

 2023年第4四半期、サービスプロバイダーはグループ全体で300億ドルをコンピューティングおよびストレージインフラに支出し、前年比19.6%増となった。この支出額は市場全体の59.2%を占めた。非サービスプロバイダー(企業、政府機関など)の支出も前年比15.2%増の207億ドルとなった。IDCは、サービスプロバイダーによるコンピューティングおよびストレージ支出が、2024年には前年比21.8%増の1243億ドルに達すると予測している。

地域別クラウドインフラ支出

 地域別のクラウドインフラ支出は、中国、中東、カナダがマイナス成長となり、中でも中国は31.1%減となった。中東およびアフリカについては、2022年度末の大規模プロジェクトの影響で、前年同期比の比較が難しかったが、支出は12.2%減少した。カナダの支出は前年同期比4.4%減少となった。

 2023年第4四半期に支出が増加した地域は、アジア太平洋地域(日本と中国を除く)が48.2%増、米国が40.6%、中東欧が11.3%、日本が10.5%、西ヨーロッパが2.7%、中南米が1.5%だった。この成長の大半は、大規模なハイパフォーマンスコンピューティングとAIベースのプロジェクトに関連したものだと分析している。

クラウドインフラ支出の中長期予測

 2023〜2028年の間に、クラウドインフラ支出の年平均成長率(CAGR)は12.8%を記録すると見込んでいる。2028年には1991億ドルに達し、コンピューティングおよびストレージインフラ支出総額の73.6%を占めると予測した。

2023〜2028年の企業インフラ支出の割合予測 紫色:非クラウド専用インフラ、橙色:共有クラウド、黄色:専用クラウド(提供:IDC) 2023〜2028年の企業インフラ支出の割合予測 紫色:非クラウド専用インフラ、橙色:共有クラウド、黄色:専用クラウド(提供:IDC)

 IDCは、2028年のクラウドインフラ支出を以下のように予測している。

  • 共有クラウドインフラ支出:2023〜2028年の間に12.8%のCAGRで増加し、2028年には1430億ドルに達し、クラウド支出総額の71.8%を占める
  • 専用クラウドインフラ支出:12.9%のCAGRで成長し、561億ドルに達する
  • 非クラウドインフラへの支出:4.1%のCAGRで回復し、714億ドルに達する
  • サービスプロバイダーによるコンピューティングとストレージのインフラ支出:13.1%のCAGRで成長し、1885億ドルに達する

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