ESETは公式ブログで、安全にサービスを利用できるパスワードの変更頻度について解説した。パスワードを定期的に変更するだけではセキュリティの脆弱性を減少させる効果があまりなく、パスワードマネージャーと二要素認証の活用が重要だとしている。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ESETは2024年4月3日(スロバキア時間)に公式ブログで、安全にサービスを利用できるパスワードの変更頻度について解説した。
スマートフォンの顔認証やその他のバイオメトリクス方式によるパスワードレス認証は、シンプルで安全なログイン体験を提供している。しかし、特にデスクトップではパスワードレス認証がいまだ標準とは言えず、パスワードへの依存が続いている。
ESETは、資格情報を安全に保つためにはどのくらいの頻度でパスワードを変更する必要があるのか、パスワードのベストプラクティスを下記のように紹介した。
かつては、サイバー犯罪者による攻撃のリスクを軽減するために、パスワードを定期的に変更することが推奨されていた。一般的には30〜90日間隔で変更が必要とされていた。
しかし、時代は変わりつつあり、設定されたスケジュールで頻繁にパスワードを変更しても、アカウントのセキュリティは向上するとは限らないことが調査で示唆されている。言い換えれば、いつパスワードを変更すべきかについて、完璧な答えはない。また、あまりにオンラインアカウントが多いために、ユーザーが数カ月に一度、それぞれのアカウントに唯一無二の強力なパスワードを設定し、管理することは困難になっている。そのため、現在は、パスワードマネージャーとニ要素認証(2FA)が広まりつつある。
パスワードマネージャーは、アカウントごとに長くて強固なパスワードを保存し、容易に取り出すことができる仕組みだ。また、二要素認証は、パスワードによるログインプロセスに、シームレスな追加セキュリティレイヤーを加える。一部のパスワードマネージャーには、ダークウェブ監視機能が組み込まれており、認証情報が侵害され、アンダーグラウンドサイトに出回った場合に自動的にフラグを立てるようになっている。
いずれにせよ、米国国立標準技術研究所(NIST)や英国国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)など、セキュリティ専門家や世界的に権威のある機関は、一定の基準を満たさない限り、数カ月ごとにパスワードを強制的に変更することを推奨しない。これには、以下のような理由がある。
NCSCはユーザーがパスワードの変更を強制される頻度が高くなるほど、攻撃に対する全体的な脆弱性は強まることを指摘している。「NCSCは現在、組織に対して定期的なパスワードの有効期限を強制しないことを推奨している。定期的なパスワードの変更はセキュリティの脆弱性を減少させる効果があまりなく、長期的なパスワード悪用のリスクを増加させる一方だ」(NCSC)
ただし、重要なアカウントについては、パスワード変更が必要となるケースがある。
漏えいがプロバイダーから通知されたり、「Have I Been Pwned」などのサービスでアラートを受け取ったり、ダークウェブで自動チェックをしているパスワードマネージャープロバイダーから通知を受け取った場合は変更が必要だ。
一般的なパスワードのリストに載っていると、ハッカーはツールを使用して、複数のアカウントに共通のパスワードを試す。
1つのアカウントが侵害されると、攻撃者は自動化されたクレデンシャルスタッフィングソフトウェアを使用して、他のサイトやアプリでアカウントを開く。
その他、パスワード変更が必要なケースは以下の通り。
アカウント乗っ取りの可能性を最小限に抑えるためには次の点を考慮する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.